【1話からの長編大賞用】冴えなかった元彼が、王子様に変身して帰ってきた。
第五章:あのときできなかったこと、言えなかったこと
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十年という月日を経て、二人は二度目の恋人同士になった。
同じ屋根のもとで暮らし始めてからというもの、悠里の日常はとても穏やかで、そしてそこに理人の愛が加わった。
「ねぇねぇ、悠里ちゃん。悠里ちゃんが使ってたこの部屋、もっとちゃんと悠里ちゃんの部屋にしない?」
「え?」
「ほら、悠里ちゃんの背に合ったデスク置いたり、カーテンなんかも好きな色のものに変えてさ!」
「い、いやいや大丈夫だよ!?今のままで十分すぎるくらいだから!」
「全然十分じゃないよ!ここはもう悠里ちゃんの家でもあるんだから。最近資格の勉強してるし、編み物だって集中してやりたい時があるでしょ?ちゃんと悠里ちゃんが落ち着ける場所を作っておかないと」
「(なんで私が編み物にハマってることまで知ってるんだろう)」
居候から同居に変わってすぐ、理人は一番に引越しを考えていた。
この家は自分一人で選んだところだから、一緒に住むならもっと悠里が好む立地や好みに合わせるべきだと言って不動産サイトから引っ張ってきた資料を見せにきたとき、悠里は慌てて「今のマンションで十分だから!」と説得した。
恋人になってからも変わらず、理人はすべてのことにおいて悠里を優先する。
彼女よりも早起きな理人は、休日になると必ず朝ごはんと悠里好みの甘いカフェラテを準備してくれる。
悠里が夕飯を作った日は必ず洗い物や洗濯物を理人が担当し、ゴミ捨ては率先して行ってくれる。
食材の調達はなるべく理人も付き添って、重たい荷物を持つ係になった。