思ってたのと違う! 女王は最愛の騎士ではなく、狂犬と結婚を強要される
8・幸せな2人
(どうして私は、こんなに大事なことを忘れていたのかしら……?)

 彼の口から語られる思い出の数々を耳にして、ようやく心の奥底に沈めていた記憶が思い出される。

『スラム街に、すごい剣士がいるんだ。僕も、あの男に負けないくらい強くなって、リベルラを守るよ!』

 幼馴染からガルドラの噂を耳にしたリベルラは、王家に伝わる秘密の通路を使って、たった1人でスラム街を目指した。

 そこで暴漢に襲われそうになったところをガルドラに助けられ、「強くてかっこよくて頼りになる人が、いつか自分を迎えに来てくれますように」と願い、ペンダントを預けたのだ。

「あんたがこの話を聞いて、嘘だのなんだの言わないように、親父さんが残してくれたもんがある」

 彼はペンダントトップを開閉し、中から小さく折り畳まれた羊皮紙を取り出す。
 リベルラはその紙に書かれた文字と署名を目にして、紫色の瞳を大きく見開いた。

『ガルドラと、幸せに。私はいつまでも、リベルラを見守っている』

 父親の遺言を受け取り、今まで抑えていた涙が溢れ出る。
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