転生したらひとりぼっちだった私、最強国の冷徹大公に拾われる~不愛想な最強保護者のもとで、稀代の才能が花開きました~
第二章 竜のお側人
疲れを知らぬ黒竜は、夜になっても飛び続けた。陽が落ちてからの上空の気温は極寒で、肌に当たる風の冷たさに両腕を摩る。すると、竜大公が羽織っているマントを脱いで、私の体を包んでくれた。
ええと……盗人疑惑がある人物への扱い、これでいいのでしょうか? 自分のマントを脱いで貸してくれるなんて親切すぎる。
あ、でも……一応、子どもだから、かもしれない。
大人よりも体が弱いから、あまりの寒さに体調を崩す可能性がある。そうなると、あとが面倒だと思ったのかも。
納得すると、ご厚意に甘え、ありがたくマントに包まれておいた。高級生地のせいなのか、魔法がかかっているのか、竜大公のマントはとても暖かく、包まれているとすぐに眠りに落ちてしまった。
それから何時間経ったのか、私は騒がしい大声で目が覚めた。
『新記録更新! 昼になる前に着いたぜ』
『つれねーなあ、おい。ちょっとはオレを褒めろよ。さすがティエリア、私の相棒ってな』
『くっ、いつも厳しいなあ』
昨日聞いた黒竜の声だった。でも、変なのは黒竜がひとりでずっと喋っているということ。
彼はいったい誰と喋っているのか……。そして私は、どうして竜語がわかるのかっ!?
王宮広場で聞いた時は、竜が人語を話せるのだと思っていた。それが間違いであると気づいたのは『アルマには竜の言葉がわからない』と知ったからだ。たぶん、カインも周りの人々も竜語を理解していないはずだ。
あまりにもいろんなことが起こりすぎて忘れてしまっていたけれど、私に竜語が理解できるなんておかしな話よね。
まあ、それはさておき。
今一番の問題は、とうとうドラン公国に着いてしまった件について、だ。
竜大公は私をどうするつもりだろう。やはり、なにかしらの刑罰を?
後ろにいる竜大公は、微動だにせず黒竜の背に乗っている。最初に何回か会話をしてから、彼はずっと黙っていた。その沈黙を気まずく感じる間もなく眠りに落ちてしまったのは幸運だった。
そうじゃなければ、長い間、居心地の悪さを感じたまま過ごしていただろう。
黒竜がだんだんと高度を下げると、眼下に白い街並みが現れた。
白い壁で築かれた美しい家々、そして中央には白亜の城。城の向こうには高い山が聳え立ち山頂には霞がかかっていた。
おそらく、これがかの有名なドラウグル山。霞の中には時折翼が見え隠れし、竜が存在を示しているようだ。
なんて美しい国かしら。もし、このような状況じゃなければ、心が躍ったに違いない。街並みを観光したり、現地の人々と話したり、許されるなら竜の住む山を探検したり。いろんなことができたかもしれないのに。
やがて黒竜は城に着き、上空を何回か旋回したあと、広場に舞い下りた。そこは竜の住むドラウグル山と城の間にある小高い場所だ。
竜大公は私を抱えて地面に下ろし、マントを羽織ると襟元を正した。
『じゃ、オレは休むぜ。今日はもう飛ばねえからな!』
黒竜が言うと、竜大公が頷く。
ああ、そうか! と、私はようやく理解した。黒竜はひとりで喋っていたんじゃなくて、竜大公と会話していたのだ。
ん? でも、どうやって? 竜大公は一言も言葉を発していない。
だとすると、テレパシー!?
「お帰りなさいませ、シリウス様。お疲れのことで……おや? この子どもは?」
突然の声に振り向くと、そこに眼鏡をかけた男性が立っていた。サラサラの茶髪に緑の瞳、見た感じとても有能そうだ。竜大公を名前で呼ぶあたり、かなり信頼されているのだろう。
ええと……盗人疑惑がある人物への扱い、これでいいのでしょうか? 自分のマントを脱いで貸してくれるなんて親切すぎる。
あ、でも……一応、子どもだから、かもしれない。
大人よりも体が弱いから、あまりの寒さに体調を崩す可能性がある。そうなると、あとが面倒だと思ったのかも。
納得すると、ご厚意に甘え、ありがたくマントに包まれておいた。高級生地のせいなのか、魔法がかかっているのか、竜大公のマントはとても暖かく、包まれているとすぐに眠りに落ちてしまった。
それから何時間経ったのか、私は騒がしい大声で目が覚めた。
『新記録更新! 昼になる前に着いたぜ』
『つれねーなあ、おい。ちょっとはオレを褒めろよ。さすがティエリア、私の相棒ってな』
『くっ、いつも厳しいなあ』
昨日聞いた黒竜の声だった。でも、変なのは黒竜がひとりでずっと喋っているということ。
彼はいったい誰と喋っているのか……。そして私は、どうして竜語がわかるのかっ!?
王宮広場で聞いた時は、竜が人語を話せるのだと思っていた。それが間違いであると気づいたのは『アルマには竜の言葉がわからない』と知ったからだ。たぶん、カインも周りの人々も竜語を理解していないはずだ。
あまりにもいろんなことが起こりすぎて忘れてしまっていたけれど、私に竜語が理解できるなんておかしな話よね。
まあ、それはさておき。
今一番の問題は、とうとうドラン公国に着いてしまった件について、だ。
竜大公は私をどうするつもりだろう。やはり、なにかしらの刑罰を?
後ろにいる竜大公は、微動だにせず黒竜の背に乗っている。最初に何回か会話をしてから、彼はずっと黙っていた。その沈黙を気まずく感じる間もなく眠りに落ちてしまったのは幸運だった。
そうじゃなければ、長い間、居心地の悪さを感じたまま過ごしていただろう。
黒竜がだんだんと高度を下げると、眼下に白い街並みが現れた。
白い壁で築かれた美しい家々、そして中央には白亜の城。城の向こうには高い山が聳え立ち山頂には霞がかかっていた。
おそらく、これがかの有名なドラウグル山。霞の中には時折翼が見え隠れし、竜が存在を示しているようだ。
なんて美しい国かしら。もし、このような状況じゃなければ、心が躍ったに違いない。街並みを観光したり、現地の人々と話したり、許されるなら竜の住む山を探検したり。いろんなことができたかもしれないのに。
やがて黒竜は城に着き、上空を何回か旋回したあと、広場に舞い下りた。そこは竜の住むドラウグル山と城の間にある小高い場所だ。
竜大公は私を抱えて地面に下ろし、マントを羽織ると襟元を正した。
『じゃ、オレは休むぜ。今日はもう飛ばねえからな!』
黒竜が言うと、竜大公が頷く。
ああ、そうか! と、私はようやく理解した。黒竜はひとりで喋っていたんじゃなくて、竜大公と会話していたのだ。
ん? でも、どうやって? 竜大公は一言も言葉を発していない。
だとすると、テレパシー!?
「お帰りなさいませ、シリウス様。お疲れのことで……おや? この子どもは?」
突然の声に振り向くと、そこに眼鏡をかけた男性が立っていた。サラサラの茶髪に緑の瞳、見た感じとても有能そうだ。竜大公を名前で呼ぶあたり、かなり信頼されているのだろう。