転生したらひとりぼっちだった私、最強国の冷徹大公に拾われる~不愛想な最強保護者のもとで、稀代の才能が花開きました~
いったいなんでこんな状況に……はっ、もしかして、ドラン公国に連れ帰ってから、恐ろしい罰を受けるのでは!?
戦々恐々とする私を尻目に、竜大公は粛々と言葉を放つ。
「パルティナ国王、この娘はドランに連れていく」
「は……え? どうしてドラン公国に? パルティナ国で投獄しようと考えておりましたが」
「……これは決定である。いかなる口出しも無用」
「いや、ですが……」
カインは渋りながら目を泳がせる。すると、アルマが言った。
「お父様、竜大公様の決定に従いましょう。きっと、なにか考えがおありなのですよ」
「うっ……だ、だが」
なぜか納得できない様子のカインを差し置いて、したり顔でアルマが笑う。
「私はネリーを許したいと思いますが、罪人に厳しい竜大公様のお考えは違うのでしょう。ネリーは可哀想だけれど、従わなくては、ね」
尊大な微笑みの中に垣間見える残酷さ。彼女を見ながら、私はそら恐ろしいものを感じていた。
アルマの言葉を聞いた竜大公は、静かに彼女に向かい歩を進める。竜大公が同意してくれたと思い込んだアルマはほっとした表情をしたが、次の瞬間青ざめた。
アルマの正面に立った竜大公が大きな手を伸ばし、彼女がかけていたドラゴンアイのペンダントを奪い取ったからだ。
「なっ、なにをするのですか!」
「なにをする、とは異なことを。これは盗品なのだろう? 君のものではない」
「あ……」
「しきりに他人を盗人だと繰り返しているが、出所のわからぬドラゴンアイだと知りながら、これ見よがしに身に着けている君のほうこそ王族として問題がありそうだ」
自信を取り戻していた彼女は一瞬にして怯えた表情に逆戻り。同じく悄然としているカインに助けを求めて走り寄る。天から地へと落とされた……アルマにしてみればそんな感じだと思う。
そんなふたりと周囲の人々を置き去りにし、竜大公は私を抱えたまま黒竜の側に行く。黒竜は翼を広げてスロープを作り私たちを背に促した。荷物のように抱えられていた私は、ここでようやく降ろされて竜大公の前に座る。
竜大公が黒竜の背を叩く。すると、大きな翼を広げた黒竜は、周りを巻き込むのをものともせず、砂埃を舞い上げて大空へと上昇した。一瞬にして地面が遠くなり、人々が豆粒になる。アルマの悔しげな顔、カインの憮然とした様子。侍女や使用人、来客の茫然とした表情。
次第に遠くなる皆の姿を見つめていると、不思議な高揚感に胸が躍る……わけがない!
ドラン公国に連れていかれて、どんな罰を受けるかわからないのに、胸を躍らせている場合じゃない。
すでに地面は遠く、飛び降りれば確実に死ぬ。なによりも、竜大公ががっしりと両腕で私を掴んでいて、その選択肢もなさそうである。うーん、ドラン公国に着くまではなにもできない。
ただ、諦めるつもりは毛頭ない。
たとえ、罪に問われようとも、なんとか死だけは回避する、なにがなんでもしてみせる。
決意も新たに前を向くと、背後から声がした。
「いくつだ?」
「え、と……年齢ですか? 九歳です」
「ずっとひとりか?」
「いえ、祖母がいましたが五歳の時に亡くなって……あ、本当の祖母ではないのですけど……でも、とても優しくしてもらいました」
その答えに返事はなく、もう質問もされなかった。代わりに大きな手が頭にのり、緊張した様子で優しく二回ポンポンと叩く。
慰めてくれている? 竜大公が? どうして?
いくら考えても、彼の行動は理解不能だ。でも、恐ろしいという噂の竜大公が見せた意外な行動に、不安な気持ちが少しだけ解けていく気がした。
戦々恐々とする私を尻目に、竜大公は粛々と言葉を放つ。
「パルティナ国王、この娘はドランに連れていく」
「は……え? どうしてドラン公国に? パルティナ国で投獄しようと考えておりましたが」
「……これは決定である。いかなる口出しも無用」
「いや、ですが……」
カインは渋りながら目を泳がせる。すると、アルマが言った。
「お父様、竜大公様の決定に従いましょう。きっと、なにか考えがおありなのですよ」
「うっ……だ、だが」
なぜか納得できない様子のカインを差し置いて、したり顔でアルマが笑う。
「私はネリーを許したいと思いますが、罪人に厳しい竜大公様のお考えは違うのでしょう。ネリーは可哀想だけれど、従わなくては、ね」
尊大な微笑みの中に垣間見える残酷さ。彼女を見ながら、私はそら恐ろしいものを感じていた。
アルマの言葉を聞いた竜大公は、静かに彼女に向かい歩を進める。竜大公が同意してくれたと思い込んだアルマはほっとした表情をしたが、次の瞬間青ざめた。
アルマの正面に立った竜大公が大きな手を伸ばし、彼女がかけていたドラゴンアイのペンダントを奪い取ったからだ。
「なっ、なにをするのですか!」
「なにをする、とは異なことを。これは盗品なのだろう? 君のものではない」
「あ……」
「しきりに他人を盗人だと繰り返しているが、出所のわからぬドラゴンアイだと知りながら、これ見よがしに身に着けている君のほうこそ王族として問題がありそうだ」
自信を取り戻していた彼女は一瞬にして怯えた表情に逆戻り。同じく悄然としているカインに助けを求めて走り寄る。天から地へと落とされた……アルマにしてみればそんな感じだと思う。
そんなふたりと周囲の人々を置き去りにし、竜大公は私を抱えたまま黒竜の側に行く。黒竜は翼を広げてスロープを作り私たちを背に促した。荷物のように抱えられていた私は、ここでようやく降ろされて竜大公の前に座る。
竜大公が黒竜の背を叩く。すると、大きな翼を広げた黒竜は、周りを巻き込むのをものともせず、砂埃を舞い上げて大空へと上昇した。一瞬にして地面が遠くなり、人々が豆粒になる。アルマの悔しげな顔、カインの憮然とした様子。侍女や使用人、来客の茫然とした表情。
次第に遠くなる皆の姿を見つめていると、不思議な高揚感に胸が躍る……わけがない!
ドラン公国に連れていかれて、どんな罰を受けるかわからないのに、胸を躍らせている場合じゃない。
すでに地面は遠く、飛び降りれば確実に死ぬ。なによりも、竜大公ががっしりと両腕で私を掴んでいて、その選択肢もなさそうである。うーん、ドラン公国に着くまではなにもできない。
ただ、諦めるつもりは毛頭ない。
たとえ、罪に問われようとも、なんとか死だけは回避する、なにがなんでもしてみせる。
決意も新たに前を向くと、背後から声がした。
「いくつだ?」
「え、と……年齢ですか? 九歳です」
「ずっとひとりか?」
「いえ、祖母がいましたが五歳の時に亡くなって……あ、本当の祖母ではないのですけど……でも、とても優しくしてもらいました」
その答えに返事はなく、もう質問もされなかった。代わりに大きな手が頭にのり、緊張した様子で優しく二回ポンポンと叩く。
慰めてくれている? 竜大公が? どうして?
いくら考えても、彼の行動は理解不能だ。でも、恐ろしいという噂の竜大公が見せた意外な行動に、不安な気持ちが少しだけ解けていく気がした。