終わらない夜に

6.オリオンをつないで



牧野さんに襲われたあの日。
あれから警察が来て彼は逮捕され……翌日には町中が大騒ぎで、家には心配したご近所さんや上司、ママ友などたくさんの人が駆けつけてくれた。

さいわい子供たちはなにが起きたかもわかっておらず、ただ名執さんと過ごせることをよろこび週末を終えた。

そしてそれから一週間後。
私と子供たち、そして名執さんは島の海沿いの小高い丘にあるヴィラへとやってきた。

「うみー!」
「きれー!」
「本当、すごくきれいだね」

9月終わりの青天の下、今回私たちは島内でも有名な高級ヴィラにグランピングにやってきた。

というのも先日の一件で疲弊する中、名執さんから『気分転換にどう?』と誘いがあったから。
この島に引っ越してきてからこういったリゾートエリアには縁がなく、せっかくの機会だしとやってきたのだった。

目の前に日本海が広がるヴィラは一棟貸切で、屋外プールとグランピング用テント、バーベキューセットまでついている。
初めての景色に、当然子供たちは大興奮だ。

「うみ!うみいく!」
「海は見るだけ。でもここのプールなら入れるよ」
「はいるー!」

着いて早々、雪人は冬馬を引き連れて一目散にプールへ向かった。
事前に服の下に水着着せておいて正解だったな。

「子供たちがよろこんでくれてよかった」

大はしゃぎする子供たちを見て、車から荷物を下ろしてきた名執さんは笑う。

その姿は普段のスーツ姿とも寝巻き姿とも違うTシャツにワイドパンツとラフな格好で、なにを着ても似合ってしまうと思った。

「ありがとうございます、名執さん。こんなにいいところ用意してもらっちゃって」
「せっかくだしね。リゾート開発に携わるときに今あるリゾートがどんな感じかも見ておきたかったし」

名執さんはあれから私を心配して、今週だけで週4日はこちらに来てくれている。
ヘリ代がいくらかかっているのかは怖くて聞けない。

「あおいー!きて!」

雪人に呼ばれ、名執さんはその格好のままプールへと向かう。
遠目からそれを見守っていると、3人は次第にじゃれ合い、水をかけて遊び始めた。

大きな口を開けて笑う子供たちに、目を細めて笑う彼。そんな3人の姿に、心があたたかくなる。

名執さんのことが、好き。
向き合うことを避けていた自分の気持ちを認めたら、少しだけ心がらくになってもっともっと好きになってる。

先日名執さんに『好き』とは伝えたけれど、そのあとすぐに警察が来てうやむやになってしまった。
普段は子供たちがいることで全くそういうムードにならず……。
今回の宿泊が、改めて話をするチャンスなのかも。

でも今はまず思い出作りから。
そう思い、私は3人の姿をスマートフォンで写真に収めた。

 
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