あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています
四つ折りの紙
昼過ぎの枠が、戸倉さんだった。
この間の続き、と篠宮が言う前に、戸倉さんは自分から喋り始めた。
二課の若手の再就職の話。
夜勤手当の経過措置。
怒鳴り込んできた日とは、もう別の声だった。
面談の終わり際、戸倉さんは廊下を一度見てから、作業着の胸ポケットを探った。
「……あんたらに、渡しとくもんがある」
四つ折りの紙が、机に置かれた。
何かが印刷された紙のようだ。
「先週、常務が工場に来たろう。激励とか言って、ラインを回って。そのあとで、事務棟の複合機から本社になんか資料を送っとってな。そのときの、ミスプリントが複合機の下に忘れられとった」
篠宮が紙を開く。
このみも横から覗き込んで、息が止まった。
──集中業務スペース 運用(案)。
起案、経営企画部。
対象者の欄に、名前が並んでいる。
一番上は、検査課の主任だった。
あとに続く数名も、見覚えのある名前ばかり。
説明会で質問に立った人。
面談で強く食い下がった人。
そして、業務内容には、マニュアル整備および過去データの点検、とだけ書かれている。
(……追い出し部屋だ)
そんな言葉は、紙のどこにも書いていないが、そうとしか読み取れなかった。
現場の社員を事務所の一室に詰めて、書類整備や点検だけをさせるはずがない。