あなたを手放す予定は、私の計画にありません――冷徹な首切りコンサルに、規定外の溺愛をされています

切らずに済ませた分のつけ


「ですので」

篠宮の声は、最後まで平らだった。

「本日この場で、私の契約解除をご判断いただいても構いません。常務の件と、同じ議題で結構です。──ただし、判断の順番だけ、お願いします。先に、この運用の停止を。私の処遇は、その後で」

自分を差し出す言い方を、この人はこんなに事務的にするのか。
まっすぐ座っていられているのが、不思議なくらいだった。
膝の上で、記録と関係のない方の手が、スカートの布を握っていた。

ファンドの代表が、十分間の休憩を求めて席を立った。
戻ってきたとき、代表は着席せず、立ったまま言った。

「三点、決定します。集中業務スペースは廃止。対象の方々は、本日中に原職へ戻っていただく。それから──」

代表の目が、初めて藤堂に向いた。

「藤堂常務には、本日付で、すべての担当職務を外れていただきます。役員としての進退は、しかるべき手続きで、速やかに検討します」

しかるべき手続き。
十五年前、百二十人を消したのも、おそらくこういう言葉だったのだろう。

「……お待ちなさい」

藤堂の声は、まだ柔らかい形をしていた。
形、だけが。

「代表、それは性急というものだ。何か誤解がある。私は現場の実情に合わせて──」

「資料の内容に反論があれば、伺います。事実関係で」

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