屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました
最終章 結婚
それから間もなく、清正さんに九条不動産の本社ビルへ行こうと言われた。
そこは、『血縁者以外は入るな』と言われ続けてきた場所で、私は一度も足を踏み入れたことがなかった。
案の定、私が九条不動産の社長室に入った途端、待っていた玲子さんも叔父さんも露骨に眉をひそめた。
「清正さんが大事な話があるって言うから時間を作ったのに、なんで夏音まで連れてきたのよ。あ、今から離婚するって話なら大歓迎だけど」
玲子さんはそう言って笑う。
私は唇を噛んだが、その隣で清正さんは穏やかに微笑んだ。
「離婚するはずがないでしょう。今日は、お知らせに来ただけです」
そう言って指を一つ立てて差し出す。
「一つ。都市開発計画は、少なくとも屋敷のある住楽地区では進みません。あなたが国土交通省職員へ金銭を渡し、接待を行った件で、収賄事件として捜査が始まるからです。そんな土地が開発地区に選ばれるはずはありません」
「え……」
「あなたの証言のおかげで調べやすくなり、証拠も十分に揃いましたので、すでに警察へ提出しています」
玲子さんと叔父さんの顔が、みるみる青ざめていく。しかし、清正さんは淡々と言葉を続けた。
「二つ。夏音名義の委任状と承諾書を偽造し、名義を移しましたね。私文書偽造は立派な犯罪です。偽造したのは九条孝。そして手続きに関与した司法書士は九条玲子。こちらも証拠はすべて押さえています」
清正さんがずっと調べていたこと――それは、この事実だったのだ。
私は驚きのあまり言葉も出ず、その場に立ち尽くすしかなかった。
そこは、『血縁者以外は入るな』と言われ続けてきた場所で、私は一度も足を踏み入れたことがなかった。
案の定、私が九条不動産の社長室に入った途端、待っていた玲子さんも叔父さんも露骨に眉をひそめた。
「清正さんが大事な話があるって言うから時間を作ったのに、なんで夏音まで連れてきたのよ。あ、今から離婚するって話なら大歓迎だけど」
玲子さんはそう言って笑う。
私は唇を噛んだが、その隣で清正さんは穏やかに微笑んだ。
「離婚するはずがないでしょう。今日は、お知らせに来ただけです」
そう言って指を一つ立てて差し出す。
「一つ。都市開発計画は、少なくとも屋敷のある住楽地区では進みません。あなたが国土交通省職員へ金銭を渡し、接待を行った件で、収賄事件として捜査が始まるからです。そんな土地が開発地区に選ばれるはずはありません」
「え……」
「あなたの証言のおかげで調べやすくなり、証拠も十分に揃いましたので、すでに警察へ提出しています」
玲子さんと叔父さんの顔が、みるみる青ざめていく。しかし、清正さんは淡々と言葉を続けた。
「二つ。夏音名義の委任状と承諾書を偽造し、名義を移しましたね。私文書偽造は立派な犯罪です。偽造したのは九条孝。そして手続きに関与した司法書士は九条玲子。こちらも証拠はすべて押さえています」
清正さんがずっと調べていたこと――それは、この事実だったのだ。
私は驚きのあまり言葉も出ず、その場に立ち尽くすしかなかった。