屋敷を守るための契約結婚だったのに、気づけば冷徹社長に囲い込まれていました

「俺は君と離れることだけは、どうしても嫌だった。それくらい、夏音が好きになっていた。昔も好きだったが、今はそれとは比べ物にならないくらいな。だからもう全部話してまで、引き留めようと思ったんだ」

 視界が滲む。言葉が出ない。
 けれど喉の手前にはもう一つの答えしか残っていなかった。なんとかそれを吐き出すように口を開く。

「私の方がずっと……清正さんが好き」

 涙が次々こぼれ落ちる。

「玲子さんと一緒にいるところを見るのがつらくて……、あなたの口から別れを告げられるのがどうしても嫌で……。あんなに一番大事だった屋敷を諦めてもいいと思うくらい好きになってた……!」

 叫ぶように言った私を清正さんは抱き寄せた。
 そして次の瞬間。そっと唇が重なる。

「んっ……」

 優しくて、温かくて……ずっと待っていたものだった。
 息継ぎの合間も惜しむように何度もキスを交わす。
 何分も経ったのち、ゆっくり唇が離れると、清正さんは少し困ったように眉を下げた。

「すまない。また、突然だったな。あのときも、我慢できなくて……突然キスした。あの後かなり反省したんだ」

 私は首を横に振る。

「あのときは驚きましたけど、好きでキスしてくれたなら……嬉しいに決まってます」

 そして彼の顔を両手で包み込むと、今度は自分から背伸びをして唇を重ねた。

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