マッチングした相手は片想いの社長でした

第14話 二人のデート

春樹さんの腕の中は、いつもよりずっと温かく感じた。

首筋に落ちた唇の感触に、私はそっと目を閉じる。

「那奈」

低く呼ばれた名前だけで胸がいっぱいになる。

会社では社長と社員。

人前では簡単に触れることさえできない。

なのに今は、こんなにも近くに春樹さんがいる。

頬に触れる手も、私を抱きしめる腕も、全部が優しかった。

「春樹さん……」

顔を上げると、春樹さんと目が合った。

切れ長の瞳が、まっすぐ私だけを見ている。

次の瞬間、唇が重なった。

何度キスをしても慣れない。

胸が苦しくなるくらいドキドキするのに、それでももっと近くにいたいと思ってしまう。

私は春樹さんの背中に腕を回した。

その夜、私は春樹さんの腕に抱かれながら眠った。

――幸せ。

そんな単純な言葉しか浮かばなかった。
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