マッチングした相手は片想いの社長でした
静かになると、余計に意識してしまう。

やがて浴室の扉が開く音がした。

戻ってきた春樹さんを見て、心臓が跳ねる。

「春樹さん……」

近づいてくる。私は思わず視線を伏せた。

借りたシャツが肩から少し落ちる。

春樹さんの指が、そっと私の髪に触れた。

「那奈」

いつもの余裕のある声より、少し低い。

「君が必要だ」

その言葉に顔を上げる。

欲しい、じゃない。

必要だと言ってくれた。

胸の奥が熱くなった。

「春樹さん……」

彼の腕が腰に回る。

そっと引き寄せられ、私は春樹さんの胸に手を添えた。

春樹さんの顔が近づく。

唇が触れたのは、私の唇ではなかった。

首筋に、柔らかなキスが落ちる。

「……春樹さん」

私は静かに目を閉じた。
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