マッチングした相手は片想いの社長でした

第18話 一緒に暮らそう

社長室に、キーボードを叩く音が静かに響いていた。

春樹さんはデスクの向こうで資料に目を通している。

その横顔はいつも通り真剣で、仕事中の春樹さんはやっぱり格好いい。

以前なら、こうして遠くから見つめるだけだった。

それだけで幸せだった。

なのに今の私は――春樹さんの秘書として、すぐ側にいる。

「水野」

不意に呼ばれて顔を上げる。

春樹さんと目が合った。

「はい、社長」

会社では社長。

二人きりのときは春樹さん。

まだその切り替えには慣れない。

「この資料を頼む」

「はい」

渡された資料を受け取る。

「それと、この仕事だが……」

「あ、はい」

説明を聞きながらメモを取る。

一つ終わったと思ったら、また一つ。
< 169 / 295 >

この作品をシェア

pagetop