マッチングした相手は片想いの社長でした
「でも、無理はするな」

「……うん」

「君は俺に愛されていればいいんだ」

「そんな……」

それじゃダメだよ、と言おうとした。

私は春樹さんの恋人である前に、ここで働く社員でもある。

だけど――。

言葉を続けるより先に、春樹さんの手が私の頬に触れた。

大きな手のひらに包まれる。

「那奈」

名前を呼ばれただけで、胸の奥が熱くなる。

春樹さんの顔がゆっくり近づいてくる。

私は逃げなかった。

逃げたいなんて、思わなかった。

唇が重なる。

優しいキス。

それなのに、胸がいっぱいになってしまうほど甘い。

――ずるい。

仕事を頑張りたいって言っているのに。

こんなふうにされたら、私はまた、この人のことばかり考えてしまう。

唇が離れても、春樹さんの手は私の頬を包んだままだった。
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