マッチングした相手は片想いの社長でした

第21話 突然の「パパ」

香織さんがNY支社から戻ってきて、数日が経った。

最初こそ、彼女の姿を見るたびに胸の奥がざわついていた。

春樹さんがかつて愛した人。

そして、婚約までした人。

だけど、仕事をしている香織さんを見ているうちに、私の中の印象は少しずつ変わっていった。

「社長、クライアントとの契約に行って来ます」

資料を抱えた香織さんが、社長室の入り口から声をかける。

「ああ、頼むよ」

春樹さんの返事もごく普通だ。

昔の恋人同士というより、今は社長と社員。

少なくとも、私にはそう見えた。

「すごいですね。契約だなんて」

思わず口にすると、春樹さんがパソコンから顔を上げる。

「元々企画部のエースだ」

「そうなんだ」
< 202 / 295 >

この作品をシェア

pagetop