マッチングした相手は片想いの社長でした

第22話 家族という選択

「今日は来てくれてありがとう」

香織さんは、春太君の姿を見ながらそう言った。

休日の動物園。

平日のスーツ姿とは違い、ブルーのワンピースを着た香織さんは、一人の母親の顔をしていた。

「俺も話したかったから」

春樹さんが答える。

「パパ、象さんだよ!」

春太君が嬉しそうに象を指さした。

「そうだな」

「パパは象さん好き?」

「好きだな」

「僕も好き! 一緒」

春太君は満面の笑みを浮かべた。

たったそれだけのことが嬉しくて仕方がないらしい。

春樹さんはそんな春太君を見つめた。

自分に子供がいた。

しかも五歳になるまで、その存在すら知らなかった。

まだ実感が追いつかない。
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