マッチングした相手は片想いの社長でした
それでも、「パパ」と呼ばれるたびに胸の奥に不思議な感情が生まれていた。

三人で園内を歩き、春太君が動物を見るたびにはしゃぐ。

その姿を見守りながら、春樹さんはずっと聞けずにいたことを口にした。

「香織」

「なに?」

「なんで言ってくれなかった?」

香織さんの表情が止まった。

「言ったら何か変わってた?」

「そりゃあ結婚して……」

「子供を理由にしたくなかった」

「香織……」

「あなたは会社を継がなきゃいけなかった。私は自分の仕事を選びたかった。あの頃の私たちは、それで別れたでしょう?」

「でも俺達は愛し合っていた」

「……そうね」

それは否定できない過去だった。

愛していた。
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