マッチングした相手は片想いの社長でした

第28話 父の想い

春樹さんの部屋に戻った途端、張りつめていたものが切れた。

「……っ」

自分でも驚くほど、涙が次々に溢れてきた。

止めようとしても止まらない。

水野製作所を出てから、ずっと我慢していた。

車の中では春樹さんがいつも通り話しかけてくれたから、私もなるべく普通に答えた。

でも本当は、悔しかった。

せっかく春樹さんが来てくれたのに。

仕事の合間を縫って、きちんとスーツを着て、父に頭を下げてくれたのに。

それなのに父は、春樹さんのことをほとんど知ろうともせずに追い返した。

「そんなに泣くなって」

隣に座った春樹さんが困ったように笑う。

「だって……せっかく春樹さんが……」

最後まで言葉にならなかった。

俯く私の頭を、春樹さんの大きな手が優しく撫でる。
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