マッチングした相手は片想いの社長でした

第6話 またの逢瀬

「ここ……?」

春樹さんと手を繋いだまま、私は目の前のホテルを見上げた。

夜の街の中で、柔らかな光を放つ大きな建物。

エントランスには品のいい照明が灯り、出入りする人たちもどこか落ち着いて見える。

前に春樹さんと過ごしたホテルとは違う。

また、この人と夜を過ごすんだ。

そう意識した途端、繋いでいる手が急に熱く感じられた。

「素敵なホテル……いいんですか?」

思わず尋ねると、春樹さんは私を見て微笑んだ。

「那奈との夜のためだよ」

「……っ」

そんなことを、どうして平然と言えるんだろう。

一週間も連絡をくれなくて、会社では目さえ合わせてくれなくて。

私はずっと不安だったのに。

たった一言で、胸の中にあった寂しさが溶けていく。
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