高嶺の花も恋をしたい!
知らされていなかった事実
 週明けから、副社長は設計図と向かい合う日々が始まった。

 通常なら歴史的建築物のリノベーションには、年単位の時間を要する。しかし今回の柏原邸に関しては、納期がかなりタイトだった。

 なぜなら、ご当主の年齢的な問題があったからだ。
 お元気だとはいえ81歳とご高齢なため、リノベーションが済んだ離れに、一日でも長く住んでいただくには、完成を急ぐ必要があるからだ。

 そういうわけで、副社長と田村部長はほとんど缶詰状態で貸会議室に籠っていた。

 朝出勤してみると、ソファーに二人が寝ているなんてこともしょっちゅうで、さすがに3日連続その状態が続いたときは、二人を朝からサウナ施設へ送り出すことに。

 その間に私が貸会議室を掃除し、午後からまた仕事ができる状態に整えることにした。

 残念ながら設計面で私にできることがまだないので、第三設計部の部長補佐さんから役所への申請書類の作成を教わり、毎日事務仕事に励んでいた。

 そんなある日、給湯室で食器を洗っていると、後ろから声をかけられた。

「あなたが副社長秘書?」

 そう言って、洗い物の途中の私を頭から足のつま先までじろじろと見る女性が3人。

 真ん中の女性は、私より十歳ほど年上だろうか。両サイドの女性は私より少し年上だ。
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