高嶺の花も恋をしたい!
初めての夜
 どうしてこんなことになったのだろう。

 三軒目のワインバーに行ったことは覚えている。甘いスパークリングワインが美味しかった。

 お酒はそこそこ飲めるけれど辛口のお酒は苦手で、ヒューガルデンから始まった本日のラインナップは完璧だった。

 愚痴を聞いてくれる同期にも恵まれて、最悪の気分だったのに、全部吐き出すことができた。

 今さらほかの会社に就職しなおすこともできないし、異動願を出せるようになるまで、受付で我慢するしかないのが私の現状だ。受け入れるしかない。

 いっぱい飲んで、いっぱい愚痴って、高野には随分と慰められた。おかげでいい夜を過ごせたと思う。

 でも、今のこの状況……!

 ダブルベッドにスヤスヤと眠るイケメン、そして腕枕。ここは……おそらく高野の部屋だ。

 三軒目で記憶が途切れているということは、私、寝ちゃったの? きっとそう。

 私の家がわからなくて、仕方なく自分の家に連れてきたのだろう。申し訳ないことをした。

 念のために少し頭を起こし服装をチェックしてみたが、リクルートスーツの上着を脱いでいるだけで、ちゃんとブラウスもスカートも、ストッキングに至るまで身に着けたままだったことにホッとする。

 それにしても、こんなに近くで男の人を見たのは初めてだ。
 眠っていると年齢より少し若く見える。ワックスが取れてしまった髪型のせいだろうか。
 本当に……綺麗な顔だわ。

 私は彼の腕が痺れないように頭の下から腕を外し、そっとベッドから離れようとした。

 その瞬間、腕を掴まれた。
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