薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――

第十八話 ――この現実から逃げても良いですか? 逃がしてくれないですよね――

現実というものは、目を逸らしたところで、なかったことにはならないらしい。

できることなら、私は今すぐ昨日の夜まで時間を巻き戻したい。

いや。

もっと言うなら、少し前。

陸斗さんが突然、

『結婚しませんか?』

なんて言い出す前まで戻りたい。

けれど、そんな都合のいいことが起きるはずもない。

朝の柔らかな陽射しが差し込むホテルのベッドの上。

私の左手の薬指では、婚約指輪がこれでもかというほど存在感を主張していた。

しかも隣には。

昨日までとは明らかに距離感のおかしくなった婚約者がいる。

「…………帰ります」

ようやく絞り出した言葉は、それだけだった。

昨夜のことを思い出そうとするたびに頭の中が散らかっていくし、左手を見れば指輪が嫌でも現実を突きつけてくる。

そのうえ、隣には本人までいる。

とにかく一度、家へ帰ろう。

シャワーを浴びて、着替えて、コーヒーでも飲んで。

それから一人になって、昨日のプロポーズも、指輪も、その後のことも、順番に整理すればいい。

――そう思って。

私は勢いよく布団を跳ね上げた。

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