薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――

エピローグ

あの梅雨の日から、ずいぶん長い時間が経った。

思い返せば、すべてが始まったのは六月の半ば。何となく買っていたロト7を、確認することすら忘れて放置していて、ふと思い出したように当選番号を確かめたら、一等――約十二億円が当たっていた、あの日だった。

あの頃の私は、本気で人生をやり直せると思っていた。

裏切られて、失って、それまで築いてきたものが何もかも崩れてしまった人生を、一度全部リセットしてしまいたかった。十二億円もあれば、もう誰にも頼らなくていいし、誰にも振り回されず、今度こそ静かに一人で暮らしていけるんじゃないかと、本気でそう思っていたのだ。

まさか、その先で澤登法律事務所を訪れ、陸斗さんと出会い、子どもの頃の記憶まで繋がっていくなんて、あの時の私には想像すらできなかった。

それからの日々は、本当に目まぐるしかった。

両親の事故の真相が明らかになり、未來たちとの長い因縁にもようやく決着がついた。事件そのものが一区切りついたあとも、捜査や法的な手続き、会社関係の整理にはそれなりの時間が掛かったけれど、それらも少しずつ片づいていき、これでようやく静かな生活が始まるのだと思った。

ところが、私の人生というものは、どうやら静かになることを徹底的に拒否するらしい。

事件とはまったく別の意味で、とんでもないことが起きた。

妊娠。

しかも、三つ子。

もちろん幸せなことだったし、嬉しくなかったわけでもない。でも、妊娠していることすら知らなかった私が、病院へ行ったその日に突然「三人います」と言われたのだから、嬉しさより先に戸惑いが押し寄せたのも仕方がないと思う。

ほんの少し前まで一人で生きていくつもりだった私の未来には、いつの間にか陸斗さんがいて、そのうえ一度に三人も家族が増えることになった。

人生というものは、本当に何が起こるか分からない。

そして未来というものは、こちらの予定なんて少しも聞いてくれないらしい。
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