薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
あれほど逃げたいと思っていたはずなのに、今はここから離れようとは思わない。
追いかけられて逃げ切れなかったからではなく、捕まったから仕方なくここにいるわけでもない。
北海道から戻ると決め、この人との結婚を自分で選び、その隣にいることを私自身が望んだからだ。
だから、もしこれを囚われたと言うのなら、私はきっと、自分からこの人の執着愛の中へ足を踏み入れたのだと思う。
束縛という名の、どうしようもなく重たくて、時々本気で面倒くさくなるほど真っ直ぐな愛情の中へ。
子どもの頃、図書館や公園で顔を合わせていた地味で不器用なお兄さんが、まさか長い時間を越えて私の人生へ戻ってきて、ここまで深く関わる人になるなんて、あの頃の私は絶対に想像していなかった。
ロト7で十二億円が当たった時だって、私は人生をやり直すつもりだった。
静かに、誰にも邪魔されず、一人で暮らしていく未来を思い描いていた。
ところが今、私の隣には長い間私を忘れなかった人がいて、お腹の中には三つの新しい命がいる。
少し上の階には、信じられないほど騒がしくて、信じられないほど世話焼きで、それでもどうしようもなく温かい人たちがいる。
思い描いていた人生とは、全然違う。
静かでもなければ、おそらくこの先も穏やか一辺倒にはならない。
それでも、悪くない。
むしろ、こういう人生を幸せと呼ぶのかもしれないと、今なら少しだけ思える。
「奏」
「何ですか?」
「今日はこのまま一緒に寝ます」
「自分の部屋へ帰らないんですか?」
「帰りません」
「何でですか!」
「婚約者ですから」
「理由になってません!」
「心配なので」
「だからって!」
言い返そうとしたのに、陸斗さんの腕はまたしっかり私を囲い込んだ。
逃げようと思えば、きっと逃げられる。
でも私は動かなかった。
今はもう、逃げる必要がないと分かってしまったから。
人生をやり直すつもりだった私は、気づけばとんでもなく濃い人たちに囲まれ、長い間私を想い続けていた弁護士の執着愛に捕まり、そのうえお腹の中には三人の子どもまでいる。
こんな未来、少し前の私なら絶対に想像できなかった。
これを薔薇色の人生と呼ぶのかは、まだ分からない。
そもそも薔薇色というものが、赤なのか、淡いピンクなのか、それともまったく別の色なのか、私にはまだ答えが出せない。
泣いた日の色もあった。
悔しかった日の色も、一人きりだと思っていた日の色もあった。
誰かに守られた日の色や、心から笑えた日の色も、今では少しずつ増えている。
そしてこれから先には、まだ私の知らない色が、きっといくつも待っている。
だったら、その答えを今すぐ決めなくてもいい。
いつか、この人と一緒に歩いてきた未来を振り返った時に、自分の人生がどんな色だったのか、笑って答えられればそれでいい。
「奏」
「はい」
「好きです」
「……さっき聞きました」
「もう一度言いたくなったので」
「これから毎日言うつもりですか?」
「はい」
「ほどほどにしてください」
「無理です」
「ですよね」
思わず笑うと、陸斗さんの腕が少しだけ強くなった。
束縛という名の、とんでもなく重たい執着愛。
気づけば私は、すっかりその中に囚われていた。
でも、それでいいと思える。
今度は誰かに決められたわけでも、追い詰められて選んだわけでもなく、私自身がこの人の隣を選んだから。
これから先、どんな色の未来が待っているのかは、まだ分からない。
だから、その答えはもう少し先まで取っておこうと思う。
いつか振り返った時に、私が選んだこの人生がいったい何色だったのか。
ちゃんと答えられる、その日まで。
追いかけられて逃げ切れなかったからではなく、捕まったから仕方なくここにいるわけでもない。
北海道から戻ると決め、この人との結婚を自分で選び、その隣にいることを私自身が望んだからだ。
だから、もしこれを囚われたと言うのなら、私はきっと、自分からこの人の執着愛の中へ足を踏み入れたのだと思う。
束縛という名の、どうしようもなく重たくて、時々本気で面倒くさくなるほど真っ直ぐな愛情の中へ。
子どもの頃、図書館や公園で顔を合わせていた地味で不器用なお兄さんが、まさか長い時間を越えて私の人生へ戻ってきて、ここまで深く関わる人になるなんて、あの頃の私は絶対に想像していなかった。
ロト7で十二億円が当たった時だって、私は人生をやり直すつもりだった。
静かに、誰にも邪魔されず、一人で暮らしていく未来を思い描いていた。
ところが今、私の隣には長い間私を忘れなかった人がいて、お腹の中には三つの新しい命がいる。
少し上の階には、信じられないほど騒がしくて、信じられないほど世話焼きで、それでもどうしようもなく温かい人たちがいる。
思い描いていた人生とは、全然違う。
静かでもなければ、おそらくこの先も穏やか一辺倒にはならない。
それでも、悪くない。
むしろ、こういう人生を幸せと呼ぶのかもしれないと、今なら少しだけ思える。
「奏」
「何ですか?」
「今日はこのまま一緒に寝ます」
「自分の部屋へ帰らないんですか?」
「帰りません」
「何でですか!」
「婚約者ですから」
「理由になってません!」
「心配なので」
「だからって!」
言い返そうとしたのに、陸斗さんの腕はまたしっかり私を囲い込んだ。
逃げようと思えば、きっと逃げられる。
でも私は動かなかった。
今はもう、逃げる必要がないと分かってしまったから。
人生をやり直すつもりだった私は、気づけばとんでもなく濃い人たちに囲まれ、長い間私を想い続けていた弁護士の執着愛に捕まり、そのうえお腹の中には三人の子どもまでいる。
こんな未来、少し前の私なら絶対に想像できなかった。
これを薔薇色の人生と呼ぶのかは、まだ分からない。
そもそも薔薇色というものが、赤なのか、淡いピンクなのか、それともまったく別の色なのか、私にはまだ答えが出せない。
泣いた日の色もあった。
悔しかった日の色も、一人きりだと思っていた日の色もあった。
誰かに守られた日の色や、心から笑えた日の色も、今では少しずつ増えている。
そしてこれから先には、まだ私の知らない色が、きっといくつも待っている。
だったら、その答えを今すぐ決めなくてもいい。
いつか、この人と一緒に歩いてきた未来を振り返った時に、自分の人生がどんな色だったのか、笑って答えられればそれでいい。
「奏」
「はい」
「好きです」
「……さっき聞きました」
「もう一度言いたくなったので」
「これから毎日言うつもりですか?」
「はい」
「ほどほどにしてください」
「無理です」
「ですよね」
思わず笑うと、陸斗さんの腕が少しだけ強くなった。
束縛という名の、とんでもなく重たい執着愛。
気づけば私は、すっかりその中に囚われていた。
でも、それでいいと思える。
今度は誰かに決められたわけでも、追い詰められて選んだわけでもなく、私自身がこの人の隣を選んだから。
これから先、どんな色の未来が待っているのかは、まだ分からない。
だから、その答えはもう少し先まで取っておこうと思う。
いつか振り返った時に、私が選んだこの人生がいったい何色だったのか。
ちゃんと答えられる、その日まで。