恋のメンテナンスは必要ですか?
最終章 幸せな未来

第三十五話 「違和感」

  
 付き合い始めてから、彩は翔からの蕩けるような愛に浸っていた。
 彩の一日は基本、翔のベッドで始まる。

 付き合う前までは別々の寝室で眠っていたけれど、クリスマスに付き合い始めてからは翔の寝室で寝ることがかなり増えた。
 理由はお察しの通りで……。
 毎日二人で熱い夜を過ごしていた。

「いたた……」

 目を覚まし、腰をさする。
 流石に連日の営みに腰が悲鳴をあげていた。
 年末の休みに入っていて本当に良かったと思う。

 布団で露わになった肌を隠しながらサイドテーブルに置かれていた下着を身につける。
 上のシャツは見つかったのに下のショートパンツが見つからず困った。
 どこに……。

 昨日の記憶を思い出す。
 
 朝起きて、年末だろうと関係なく働く翔さんを見送って、お父さんとお母さんに会って話して。
 帰宅したらお風呂に入って——。

 
 昨日の夜——洗面所。
 温まった体をバスタオルで拭き、タオルを巻いたままスキンケアを終えると服を着る。
 今日のルームウェアは新品。シンプルな長めの長袖シャツにショートパンツ。
 デザイン自体はシンプルであるものの、ツルツルとした触り心地のいい生地に惹かれ買ってしまった。

 スマホで音楽を流しながら頭を乾かす。
 乾き終えると櫛で髪を梳(と)かして浴室を出た。
 一人リビングで素敵な夜景の眺望を眺めながらコーヒー牛乳を飲んでみたり。

 年末の夜を自由に過ごしていた。

 
 二十三時頃。
 ソファーでブランケットを被りながら、うとうとしていると物音で目を覚ます。
 
「うん……?」
 
 ゆっくりと体を起こし辺りを見回し、キッチンの方を見つめると、翔がパジャマ姿で書類を見つめていた。

「ん……お帰りなさい」
 寝ぼけ眼を擦りながら翔に声をかける。
 翔は集中しているのか、彩の声が小さすぎるのかこちらに気づかなかった。

 ブランケットをおろしてスリッパをはく。
 寝ぼけている彩は特に気にすることなく翔へ近づいた。

「翔さん」
「ああ、彩。起きたんだ……っ?!」

 翔がこちらを見つめ固まった。
 持っていた書類に力を込めてしまったのか力が入る。
 顔を赤らめたまま彩のことを見つめていた。

「?どうかしました?」

 翔は口元に手を当て隠す。
 見てはいけないものでも見たかのように、目をチラチラと泳がせながら。

「か、可愛い、ね」
「?」
「いやその……ちょっと男には刺激的すぎるというか」
「刺激的?」
 
 言われて視線を自分の下に動かした。
 
 露わになった生足。少し大きめでもワンピースとして着るには短いかもれないが、ちゃんとショートパンツを履いているし何も……ん?
 
 注目すべきはそこじゃなかった。
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