恋のメンテナンスは必要ですか?

 ツルツルとしたサラサラの生地。
 インナーの形までわかってしまう薄めの布は、正直冬には向いていない。
 でも、この家は常に快適な温度に保たれていて、風呂上がりは暑かったし、まだ翔も帰ってこないだろうと油断していた。

 ルームウェアの上半身、はっきりとわかってしまうその形。

 
「!!!!」
 恥ずかしさからその場にうずくまり体を隠す。


 (ありえないありえないありえない!!)
 
 目がぐるぐると回る。
 
 これではまるで誘っているみたいだ。
 年の瀬になんて痴女みたいな行動をしてしまったのか。
 恥ずかしすぎて逃げたくなった。
 
「わざとじゃないんです!締め付けが苦しいしお風呂上がりは暑かったから!つ、つけるの忘れて!ああもうっごめんなさい!」

 言い訳を並べていると翔が彩に近づいた。
 触れていいのか悩みながらも、彩の縮こまった肩に触れる。

「焦らないで。大丈夫だから。それに……俺は彩の彼氏だろ?」

 恥じらう彩に優しく声をかける翔。
 瞳を揺らしながらも彩は翔に目を合わせる。

 それが合図のように、ゆっくりと唇を重ねた。

「んッ……」
 
 床暖房の効いたフローリングに押し倒され、ゆっくりと愛される。
 ショートパンツを置き去りに翔は彩を抱き上げた。

「……床痛いよね。ベッドに行こうか」

 そのままベッドで愛されて。
 気づけば年も明けていた。

 *

 思い出した。

「リビングに置きっぱなしかな……」

 ショートパンツの所在を思い出し、とにかく着られるものは着てリビングに向かった。
 リビングでは翔が待っているかと思いきや見当たらない。

「あれ?」
(今日は休みのはずなのに……)
 
 疑問に思って浴室を覗いてもいなかった。
 出かけちゃったのかもと少し残念に感じていると玄関の開く音が聞こえてきた。

 廊下から玄関を覗き込むと翔が靴を脱いでいる。
 じっと見つめていると彼は彩に気づき、少し焦った様子で話しだした。

「あっ……彩。起きたんだね」
「おはようございます。なにかありました?」
「えっと、ちょっと仕事の電話がね。朝ごはんにしようか」

 その返答に違和感を感じた。

 (仕事の電話は家の中でも受けてるのに……わざわざ外に……?)
 疑問を感じながらもそんなこともあるよね、とその場は流した。
 
 
 でも。

 感じた違和感が間違いではなかったと気づくのに、時間はかからなかった。
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