恋のメンテナンスは必要ですか?
 *


 ダイニングテーブル。
 並ぶ食事はいつも美味しそうなものばかり。家での食事はほとんど翔が作ってくれていた。

「いつも作ってもらってすみません」
「俺が好きで作ってるんだから気にしないで。それより、彩はいつまで敬語でいるの?」
 翔は面白そうに微笑む。
 
「あっえっと……なんか敬語で慣れちゃって」
「はははっ。いや、全然いいんだけど。付き合ってるのに敬語ってなんだか不思議だなと思って」

 その言葉に不安が吹き飛んだ。
 
 はっきりと言葉にしていなかった関係性。こうして翔がはっきりと言ってくれたことで本当に付き合っているんだと実感できて、心の中で安堵した。

「彩?」
「今日、ずっと考えてたんです。自分は翔さんの彼女ってことでいいのかなって」

 翔は彩の言葉にきょとんと目を丸くする。

「え、それ以外にある?」
「だ、だって私、翔さんの付き合ってって言葉にちゃんと『はい』って返事できてなかったから!好きとしか……」
 
 ああ……と。彩は恥ずかしさから視線が泳ぐ。
 学生じゃあるまいし、大人になってこんな……やっぱり空気で察しておくべきだった。
 体がブワッと熱くなりテーブルの下で指先を意味もなくもじもじと触る。

 翔は彩を見つめ、立ち上がった。
 彼女の椅子の横に跪いて彩の手を握り、また見つめる。

「不安にさせてごめん。……俺は彩が好きだよ。彩は?」

 優しい声。心地よさに指先まで熱くなりそう。
 翔の問いに彩は恥ずかしがりながらも答えた。

「好き、です」


 翔は優雅に微笑む。
 優しく触れる彩の手の甲に口付けを落とし、彼女の瞳を見つめた。


「彩、俺と付き合ってくれる?」
 
 
 二回目の交際の申し込みに胸の高鳴りが止まない。
 幸せな気持ちを抱え、返事を返す。

「っ……はい、よろしくお願いします」
 

 二人は微笑み合う。
 
 幸せを噛み締め、今という瞬間を瞳の奥に焼き付けた。
 
 
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