恋のメンテナンスは必要ですか?
第三話 「教えて」
高層ビルを出るとヒヤリとした空気が肌に触れる。
冷たい風がコートの下から入ってきて思わずブルッと震えてしまう。
「寒っ!」
「本当に歩きで大丈夫ですか?」
翔は彩の震えるような反応に心配して見つめてくる。
冬が大好きな彩は気分が上がって、翔の言葉にふふんっと自慢げに返す。
「この寒さがいいんですよ〜」
上機嫌とアルコールのおかげで足取りは軽く、気分もいい。パーティーで飲んだワインの酔いがピークに達し始めていた。
様子に気づいた翔は彩のそばに近づき、揺れる彼女の体を支える。
「彩さん、もしかして酔いが回ってますか?白ワインは時間差酔いしやすいですから。」
「そうかもしれないです。なんかふわふわして」
「僕は見ていて飽きませんが、転けると危ないので支えてもいいですか?」
「あはは!手繋いだりとかですか?」
いつもなら絶対に言わないこともアルコールのせいで口からこぼれ落ちる。
彼女は翔から離れ、前に走った。
彩は走り出した体をくるっと回し、振り返って見つめ合うと彼女はイタズラに微笑む。
「ふふっ。私は大丈夫ですよ。ほら!早く行きましょ!」
忙しない手招きで翔を呼んだ。
冷たい空気を楽しみながらイルミネーションで飾り付けられたネオンの光が広がる街に向かって歩いていく。
後ろでは翔が眉を下げ、口元を隠しながら顔をほんのり赤く染めていた。