恋のメンテナンスは必要ですか?
第四十一話 「いってらっしゃい」
レストランは結婚式場が併設されているからかとても大きく、高い壁に囲まれていた。
門のような入り口を抜け、車がロータリーに入るとまるで西洋のお屋敷にきたのかと錯覚するほど素敵なエントランスが目に入る。
大聖堂が併設されていると書いてあったけれど、外からは何も見えなかった。
「葉山様。お待ちしておりました。」
運転手のエスコートを受け、車を降りると入り口前に立っていたコンシェルジュが深々と彩にお辞儀しながら声をかけてきた。
男性は上品に手のひらで彩の進む道を差す。
「お連れ様はレストランでお待ちです。ご案内いたします。」
「あっ、はい。」
あまりの高待遇に緊張してしまう。
翔さんが連絡してくれていたからだろうか?
お姫様にでもなった気分だった。
案内されるまま、扉を抜けロビーを通り抜ける。
上着を預け、足を進め——止まった。
「綺麗……!」
レストランの入り口に入ると目の前に美しい光景が広がった。
入ってすぐに配置された大開口のパノラマウィンドウ。
外からは壁に囲まれて見えていなかった大聖堂が美しくライトアップされ、神秘的な空間を一望できる。
あまりの美しさに感嘆の声を漏らした。
見惚れていると視界の端から誰かが動いているのが見えた。
小さな動きに、気になって目をやると父が嬉しそうにこちらに手を振っていた。
「彩〜」
「ちょっと!恥ずかしいからやめて……!」
隣では母が恥ずかしそうに父を止めている。
「ふふふっ」
久しぶりの光景に笑みが溢れた。
こんな穏やかな家族時間、とても久しぶりに感じる。