恋のメンテナンスは必要ですか?

「待たせてごめんね」
「全然!お父さんたちが早すぎたんだ」
「そうよ。お父さん楽しみすぎて予定の二時間前には支度終わっちゃってソワソワしてたんだから」
「あははっ」

 父はまだ頭に傷があるのか、たまに痛むようなそぶりを見せていた。
 その度に「大丈夫?」と聞くと「気にするな」と笑っていて。
 母にも元気だったか聞くと「電話で話したりはしてたんだから、わかるでしょ?」といつものようにあしらわれた。

 普段通りがこんなに恋しくなる日が来るなんて。
 今日という日を作ってくれた翔に心から感謝した。

 三人で話しながら運ばれてくる料理を楽しむ。
 どの料理も本当に美味しくて父も母も感動していた。

 勿論、私も口に入れるたび「んー!」と幸せを噛み締めた。
 最後のデザートが運ばれてくる前にお茶を楽しむ。

「いやぁ、それにしても翔くんと彩が付き合うとは本当にめでたい」
「っ……わかったから、恥ずかしいからそれ以上言わないで。……付き合っただけなんだし」
「いやいや、わからないだろ?もう大人なんだし、結婚はすぐでも——いだっ!!」
「いだ?」

 さっきまで意気揚々と話していた父が急に俯き、プルプルと震えていた。
 驚いて目を丸くしていると隣にいた母がいつにも増してニコニコと話す。

「お父さん、頭の傷まだ治りきってないんだから興奮したら開きますよ?まぁ、それはさておき。本当に素敵なレストランね」
「え、あ、うん」

 母の言葉に少し違和感を感じつつも周りを見回した。

 本当に素敵なレストラン——……あれ?

 さっきまで周りに他のお客さんもいたはずなのに、今はもう誰も見当たらなかった。
 閉店時間というにはまだ早すぎるような。
 彩は不思議でキョロキョロと周りを見回す。
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