恋のメンテナンスは必要ですか?
第二話 「この後、時間ありますか?」
「それでなぁ、翔にいい人が見つからなくてねぇ」
「あー……」
翔が進の息子と気づき、粗相をしていなかったことに安堵したのも束の間。
彩は遠回しにお見合い話を受けていた。
はっきりとは言わない。
でも進の言っていることを要約すると『うちの息子はどうだい?』ということである。
彩がなんて返そうか困っていると隣の父が食い気味で会話に入ってくる。
「うちの彩もなかなかいい人に恵まれなくて。少し前の相手はストーカーで——」
「ちょっと!お父さん!」
人の知られたくない過去を勝手に広める父に眉間の皺を深くした。
「悪い悪い、まぁ親としても心配してるんです」
「それは大変だ……。今は大丈夫なのかい?」
「あ、はい。警察にも相談して、とりあえずは……」
進はほっとしたように顔の力を緩め「良かった」と呟く。
「それでもまだ何があるかわからないからね。お父さんは二次会に参加されるようだけど、彩さんも一緒にどうだい?」
自分の知らぬ間に父の二次会参加が決まっていたことにジロリと父を睨むが、父はあははーと目をそらし誤魔化してくる。
本当に、この父親は……。
彩は心の中で小さく息を吐きながら進に笑顔で返した。