恋のメンテナンスは必要ですか?

「お誘い嬉しいです。でも明日は仕事なので、私はこちらで失礼させていただこうと思います。」

「そうか、たしか彩さんは歯科衛生士だったかな?病院でも日曜日は仕事なのかい?」

「土日を希望される患者さんがとても多いので。うちの歯科は土日もやっています。」

「ほう、……飲食店も基本土日は出勤が多くてね。ますます翔とは相性が良さそうだ。」

 進の言葉に彩の笑顔がピクッと反応するが「そうですね」と流し、持ち堪える。
 
 進は彩の返答ににっこりと微笑むと息子の翔に目をやった。


「翔、彩さんを送ってやりなさい。ちゃんと家まで送り届けるんだよ」

「え!?いえ!そんな!パーティーの主役を私のために抜けさせるわけには」

「いいんだよ、主催者は私だからね。さっきの話を聞いて一人で帰らせるわけにもいかない。翔もいいだろう?」

「もちろん。彩さんさえ良ければ」

 彩はたじろぐが、状況に身動きできず固まる。
 完全に外堀を埋められている。
 唯一頼れるはずの父はむしろ嬉しそうに「そうしてもらいなさい」と頷く始末。

 どうにか……と少し考えるが逃げ場のない状況に彩は諦め、頷く。

 
「じゃあ……お言葉に甘えさせていただきます……」

 進は「うん。そうしなさい。」と満足げで。
 
 微笑む彩の心情はその穏やかに見える表情とは裏腹に、『やられた……』と嘆いていた。
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