恋のメンテナンスは必要ですか?
第三十一話 「愛してる」
……そっと翔の頬に手を添える。
彩から触れられたことに翔は息を止め、彼女の悩ましげな瞳を真剣に見つめた。
「私は、翔さんみたいに特別じゃないです。一般人で、本来ならこんな場所に住めるようなものは持っていないし、性格がすごくいいわけでもない。」
心の中でずっと思っていた。
自分はこの人に釣り合わないと。
でも、彼の想いに答えようとしない理由はその程度で。
「次、恋をするなら普通の恋がしたい。そう思っていたから人より全てが特別な翔さんには、どこか自分で壁を作って」
言い訳を積み重ねて、好きにならないための理由を探してた。
「でも、ドキドキ……しちゃうんです。」
彩の素直な想いに翔は蕩けるような視線で見つめ続ける。
恥ずかしさで視線をそらしたい気持ちを抑え、言葉を続けた。
「い、意識しないようにって思うのに、毎日一緒に過ごす時間が増えるたびに翔さんのことが頭に浮かんで。夜、話してリビングから自分の部屋に戻る時。『寂しい』って思っちゃう……」
顔を真っ赤に染め、耐えきれず両手のひらで顔を押さえながら。
耳を澄ませなければ聞こえないような声で彩は言った。
「……好きになっても……いいんですか?」
「……っ」
翔は彩を抱きしめた。
ソファーに倒れたまま、翔は彩を強く抱きしめる。
彩は戸惑いながらもゆっくりとその手を翔の背中に添わせた。
「好きになって。」
「俺だけの——彩になって欲しい。」
翔の熱い湿った瞳が彩を見つめる。
二人はじっと互いを見つめ合い、吸い寄せられるように。
唇を重ねた。