俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない
10章 心音(こどう)の指す未来

1話 騒がしい胸の奥

夕刻。

定期の心聴診と創部チェックのために律が病室を訪れた。

​「……失礼する」

​律は静かにドアを閉めた。

律はサイドテーブルにタブレットを置くと、ベッドサイドの椅子を引き寄せて腰掛ける。

白衣の袖を少しだけ捲り上げ、首から下げた聴診器のイヤーチップを耳にフィットさせた。

​「服のボタンを、2つ外して」

​どこまでも静かで、落ち着いた主治医の声だ。

葵は言われた通りに服の胸元を緩めた。

律は金属面をあらかじめ自分の手で包み込んで温めた。

それから律は金属面を葵の胸元へ、そっと当てた。

​ひんやりとした不快感を与えないための配慮だった。

それはあまりに自然で繊細な配慮だった。

​「……息を吸って。……吐いて」

​律は真剣な眼差しで心音に耳を澄ませる。

数秒の沈黙が流れ、律はチェストピースを胸から離した。

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