ベリーズ文庫大賞 開催期間:2013年10月29日〜2014年2月末

<第1回テーマ> 結婚
『結婚』をテーマにあなたが思い描く“ドキドキする恋”を小説にしてください。
大恋愛の末の結婚、甘い結婚生活、偽りから始まる契約結婚、また最終的に結婚には至らない恋であっても、『結婚』にまつわるさまざまなカタチのオリジナルストーリーをお待ちしています。

受賞作品発表

大賞

賞金10万円+ベリーズ文庫から書籍化
『婚カチュ。』 はづきこおり/著

優秀賞

賞金5万円+ベリーズ文庫から書籍化
『嘘つきより愛を込めて』 柴咲よつば/著

優秀賞

賞金5万円+ベリーズ文庫から書籍化
『ヒールの折れたシンデレラ』 高田 ちさき/著

新人賞

賞金3万円+ベリーズ文庫から書籍化
『婚恋』 沙菜葉/著

レビュー応援賞

上位5名・商品券1万円分
佳川鈴奈さん・永以 真子さん・叶 遥斗さん・石川 結女さん・来海シスコさん

受賞おめでとうございます!!

講評

作品講評

『婚カチュ。』 はづきこおり/著
テーマに忠実に沿いつつ、リアルな女性心理に鋭く迫っている作品。それでありながら、ヒロインへの共感性が高く、リアルゆえの痛さを感じさせないという点で支持されました。一次審査から高い評価を受け、最終審査では満場一致の受賞となりました。徐々に自分を抑えられなくなっていくヒーローの姿がカッコイイ!という意見を始めとして、登場人物の個性がそれぞれ際立っていたのも印象的。目を引くタイトルのつけ方も秀逸です。
『嘘つきより愛を込めて』 柴咲よつば/著
ヒーローが非常に魅力的で、一枚も二枚も上手な余裕っぷりと男らしいセリフが高ポイントを集めました。強引さと優しさのバランスも絶妙で、誰もが認める“かっこよさ”は対象作品の中でも際立って光っています。しかし、設定上、仕方のないこととはいえ、リアルを追求しすぎて夢がない場面も。設定を変えなくとも、必要のない場面はあえて入れず、恋愛におけるドキドキ感をプラスできるとさらに魅力的な作品になると思います。
『ヒールの折れたシンデレラ』 高田 ちさき/著
王道とも言える設定ながら、想像力を刺激する筆力とテンポのよさで、最後まで飽きることなくドキドキさせてくれる作品でした。さらに、全体を通してハッピー感があり、読者の読後感を意識している作品ともいえます。ただ、状況描写が多く、心理描写が少ないため、ヒロインの心情に寄り添いづらい点が気になりました。またタイトルになっている作中のエピソードがもっと象徴的に使われると、よりいい作品になるのではないかと思います。
『婚恋』 沙菜葉/著
ご都合主義な展開はなきにしもあらずですが、学生時代の淡い恋心などが織り交ざっているため、最後まで純粋に楽しめます。随所にちりばめられている“結婚”にまつわる普遍的なエピソードには心が温かくなりました。一方で、起きていることをわかりやすく書いていくことは重要ですが、箇条書きのようになってしまうと臨場感が失われることも。展開に登場人物の揺れる感情や葛藤が加わると、より感情移入しやすくなるでしょう。

全体講評

第1回の開催となりました『ベリーズ文庫大賞』、最終的には202作品のエントリーをいただきました。ご応募いただいた作家の皆様、作品を読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

今回はBerry's Cafeが主催する賞としては初めてテーマを設けさせていただきました。“結婚”という恋愛においては普遍的でありつつ、恋愛のゴールにもスタートにもなり得るテーマだったため、審査を通して「こうきたか!」と思うこともしばしば。作家の皆様の創造力に驚かされた日々でした。

審査は、書籍編集部、Berry's Cafe編集部、販売部の計8名で行いました。男女、既婚者未婚者が入り混じるメンバーでしたが、審査員全員が“ベリーズ文庫で読みたい作品”という評価基準を共有し、全作品を拝読した上で審査させていただきました。その中で大賞受賞作である、はづきこおりさんの『婚カチュ。』は、ベリーズ文庫、およびこのベリーズ文庫大賞で求めていた“ドキドキする恋”を体現していた作品であったと思います。

なんの理由もなく結婚をすることは、おそらくないでしょう。大好きだから、決められたから、色々な理由や事情があって結婚をするのだと思います。でも、その前後には必ず恋愛フェーズがある。その恋愛でどういう風に心が揺れ動くか…というのが“ドキドキ”なのだと、審査を進めていく中で改めて感じた次第です。

テーマ設定をすることには作家の皆様の創造性を制限してしまうのでは…という懸念もあったのですが、今回、テーマがあったがために、皆様の“挑戦”を見た気がします。どれだけオリジナリティのある設定にできるか、魅力的な登場人物を入れ込めるか、テーマに沿った上でそこにさまざまな挑戦の跡を見ることができました。結果的に、その挑戦が新鮮に映る作品に高い評価がついたと感じています。

第2回ベリーズ文庫大賞も、新たなテーマを掲げて開催する予定です。テーマדドキドキする恋”という掛け算にどんな答えを導いていただけるのか、今から楽しみにしていますので、皆様がご参加くださることを心よりお待ち申し上げます。