ベリーズ文庫大賞 開催期間:2014年11月6日〜2015年2月末

<第3回テーマ> 理想の恋愛
小説を書くあなた自身の『理想の恋愛』をテーマに、
あなたが思い描く“ドキドキする恋”を小説にしてください。
「私だったら、こんな男性に、こうやって口説かれたら恋に落ちちゃうのに!」
「こういうシチュエーションであんな出会い方をしたらイチコロなんだけど」
なんて思うことはありませんか?
100人の女性がいたら、100通りの恋愛観があると思います。その恋愛観を小説にしてほしい!ということで、第3回のテーマは『理想の恋愛』とさせて頂きました。あなたの妄想、実体験、願望…そのすべてを込めて、あなたの『理想の恋愛』を描いたオリジナルストーリーをお待ちしています。

受賞作品発表

大賞

賞金10万円+ベリーズ文庫から書籍化
『この恋、永遠に。』 咲良みり/著

優秀賞

賞金5万円+ベリーズ文庫から書籍化
『おててがくりーむぱん』 そうようまま/著

優秀賞

賞金5万円+ベリーズ文庫から書籍化
『あと1センチのスピカ』 春川 メル/著

佳作

図書カード5000円分
『薫子様、一大事でございます!』 紅カオル/著

佳作

図書カード5000円分
『恋するバンコク』 夏野ひかり/著

※受賞には至らなかったものの、支持を集めた作品を佳作として選出しました。

受賞おめでとうございます!!

講評

作品講評

『この恋、永遠に。』 咲良みり/著
公表していた5つの選考基準をすべてクリアしていた作品。とくに『ドキドキするか?』という点では一次審査から高い評価を受け、最終審査では満場一致の受賞決定となりました。どんな困難でも確実に助けてくれるヒーローが素敵!と、ヒーロー像を支持する声多数。しかし、心情の部分では、なぜヒーローはヒロインを好きになったのか?等あやふやな部分もあったので、それぞれの登場人物にもっと踏み込んだ設定や描写があると、より感情移入できる作品になるでしょう。
『おててがくりーむぱん』 そうようまま/著
非常に印象的で興味を引く題名。しかし、その印象とは大きく異なり、作品自体は幾重にも伏線が張られ、それらがすべて解決されていくという、著者の筆力の高さを感じさせる作品でした。読み進めるとドラマを観ているように感じるのも描写が丁寧だからこそでしょう。ただ、恋愛のドキドキがきちんと描かれているかというと、若干足りない部分も。コミカルチックなヒーローであるがゆえに、そのかっこよさを際立たせることができるとさらに共感を生むのでは。
『あと1センチのスピカ』 春川 メル/著
会社の同期同士の恋愛が主題ということもあり、いい意味で現実的で身近な恋愛が書かれていました。そのためヒロインに感情移入がしやすく、ヒーローから思いを寄せられていることに親近感が湧くという意見も。しかし、その現実感が強すぎるのか、冒頭からしばらくは結果的に元カレとなる人物とのエピソードが続いてしまうのが残念でした。全体の構成を見直し、タイトルはもう少し中身を想像させるものであると、より読者の興味を引く作品になるのではないかと思います。
『薫子様、一大事でございます!』 紅カオル/著
主人公を含め個性あふれるキャラが満載で非常に面白く、読んでいくうちに自分も小説の世界の住人のような気がしてくる作品でした。『登場人物のキャラクターは強いか?』という選考基準においてはかなりの高評価でした。全体の流れや構成にも勢いがあり、一気に読ませる力があります。ですが、ベリーズ文庫というレーベルで考えると若干の違和感があり、今回は佳作とさせていただきました。今後はキャラ設定や展開力といった特性を活かし、さらなる活躍を期待します。
『恋するバンコク』 夏野ひかり/著
今回のエントリー作品の中でも、世界観の構築という点では抜きんでています。審査の過程で“泣けた”“タイに行きたくなった”という意見も多く、読者を作品の世界に引っ張りいれる力強さという点で多くの支持がありました。一方で若干の暗さを感じさせる冒頭部分、恋愛の設定が複雑すぎる等、ベリーズ文庫のラインナップとは一線を画す部分があり、佳作とさせていただきました。次回は是非とも読者が想像しやすい設定で、その筆力を活かしてほしいと思います。

全体講評

第3回の開催となりました『ベリーズ文庫大賞』、今回は257作品と過去最高のエントリーをいただきました。ご応募いただいた作家の皆様、作品を読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

今回は『ベリーズ文庫大賞』としては初めて新人限定の募集とさせていただきました。また、“理想の恋愛”というテーマを掲げ、作家の皆様それぞれの恋愛観を小説という形にしていただいたため、257通りの人生を覗き見たような選考期間でした。

審査は、書籍編集部、Berry's Cafe編集部、販売部の計7名で行いました。今回は事前に公表いたしました通り、審査員全員が下記の5つのポイントを共有し、選考しています。

  • ドキドキするか?
  • 登場人物のキャラクターは強いか?
  • 設定におもしろさがあるか?
  • 作品の完成度はどうか?
  • ストーリーに予定調和ではない意外性があるか?

さらに、本賞は『ベリーズ文庫大賞』とレーベル名を冠していることもあり、“ベリーズ文庫で読みたい作品か”、“ベリーズ文庫の読者が求めている作品か”ということも鑑み、全作品を拝読した上で審査しております。

審査全体を通して感じたことといたしまして、2点、皆様に考えてみていただきたいことがあります。

1点目は、読者が求めているものを意識すること。今回のテーマは“理想の恋愛”であるがために、作家の主観が強すぎて、読者を意識していないものが散見されました。作品を通して読者にメッセージを届けることは大事です。しかし、それが押し付けになってしまうと、共感を得にくくなってしまいます。自分が伝えたい恋愛観だけを意識するのではなく、読者が求めている恋愛観について思いを巡らせることもとても大事なのではないかと思いました。
2点目は、レーベルに対する理解度を上げること。前述のとおり、本賞は『ベリーズ文庫大賞』とレーベル名を冠しております。そのため、レーベルの趣旨やカラーを無視した作品については、どんなに筆力が高くても高評価をつけにくくなってしまいます。応募作品の中には、設定や登場人物のキャラクター、ジャンル等、ベリーズ文庫というレーベルの特性とそぐわない作品も多くありました。入賞するためには、レーベルが何を求めているのかを把握してご応募いただくことが近道になるのではないかと思います。と同時に、私たちベリーズ文庫編集部としても、皆様にベリーズ文庫とはどんなレーベルかということをより広く知っていただける努力をし、「ベリーズ文庫から書籍化したい」と思ってもらえるように頑張らなくてはと気を引き締めた次第です。

次回、第4回については、商業用途での出版経験を問わずに広く作品を募集し、新たなテーマも掲げる予定です。テーマדドキドキする恋”という枠の中で読者にどんなことを伝えたいのか、その挑戦を今から楽しみにしていますので、皆様がご参加くださることを心よりお待ちしております。