月刊注目作家 2015年10月 蒼山 螢

月刊注目作家 今、注目の作家を毎月1名ご紹介★

2015年10月 蒼山 螢さん

注目理由

4月に創刊した電子書籍レーベル・マカロン文庫からデビューした蒼山 螢さんにインタビュー!10月発売の『隻眼金魚〜きみがくれた祈りのキス〜』が電子書籍化されるまでに、どのような活動をされていたのでしょうか…?

インタビュー

——マカロン文庫から電子書籍化が決まった時の気持ちをお聞かせください。
連絡を受けた時、作品のクライマックスを書いていました。感情が張りつめていたのもあり、嬉しくて嬉しくて大泣き。震えました。止めないで良かったと心から思いました。書く上でいろいろと悩みもあったので。野いちごで書いていたものがマカロン文庫で…と考えると不思議ですね。今でも「夢なんじゃないか」と思うことがあります。
——『隻眼金魚〜きみがくれた祈りのキス〜』の編集作業で苦労したことや、嬉しかったことを教えてください。
5年前に初めて書いた小説です。野いちごの登録と同時に公開しました。昔のものなので、読み返す行為が罰ゲームのようでしたが、過去の日記を読んでいる感じです。一番苦労したのが、当時の感情を思い出すこと。一度完結して手離れした小説に再び戻るのが大変でした。仙台を舞台にしていますが、町並みも変わっているので細かい設定を変えたり…。嬉しかったのは、作品が生まれ変わるのを感じられたことと、作中のふたりにイラストとして命が吹き込まれたこと。表紙のラフを見せていただいた時に素敵過ぎて2度目の号泣をしました。
——小説のアイディアはどんな時に思いつき、どのようにテーマやプロットを考えていますか?
どんなジャンルでも、アイディアが降りてこないと書けません。なので空想や妄想を大事にしています。 こう書くとふざけて聞こえるかもしれませんが、私自身は真剣です。テーマは詰め込みすぎるとブレるのでシンプルに。それに沿ってプロットをざっくり作り、すぐに書き始めます。頭にあるアイディアを早く外に出したいんです。なぜなら忘れそうだから(笑)。書き始めたらとにかく完結させること。ボツにするのも癪なのでくじけないようにがんばります。また、情景や心理描写を大事にしています。全体を見て肉付けしたりエピソードを足したりしていると、プロットで決めていたラストが変わることも時々あります。作品を執筆する時は、必ず音楽を聴きながら書きます。ロック、ポップス、クラシック、映画やゲームのサントラなど、なんでも聴きます。テンションをあげるために好きなゲームの戦闘BGMだけを聴くこともあります。作品に合わせて選曲をしますが、身を切るような切ない恋の歌が好きなので、いつも作品の主人公が死にそうです(笑)。
——作家活動を始めたきっかけを教えてください。
子供の頃から漫画やアニメ、絵や文章を書くのが好きでした。学生時代の同人誌活動を経て現在に至ります。小説を書き始めたのもその頃。創作から完全に離れた時期がありましたが、再び戻った感じです。田舎のオタクが、下手の横好きで始めた創作が、大人になっても続いているといった感じです。
——『あおやま雑貨店の日記』では、可愛いフェイクフードや手作りの雑貨などを投稿されていますが、はじめたきっかけや魅力を教えてください。
昔から物作りが好きで、デコレーション資格を取ったりしました。興味があった粘土を始めたら楽しくて。ハンドメイドの魅力は頭の中にある理想を形にできた時の達成感と感動で、文章を書くのに似ています。あおやま雑貨店の日記』P14〜15のリングピローは気合を入れて作ったので思い入れがあります。花嫁に暑苦しい思いを贈りました(笑)。でも裁縫が苦手で…祖母が和裁の先生だったのにその血は継がなかったみたいです。
——どんな小説や漫画を読むのが好きですか?小説や漫画以外にも創作活動に結びついたような、ご自身の趣味やはまっているモノなどあれば教えてください。
小説は好きな作家のものだけ手に取る傾向があるのでいろいろ読むようにしています。漫画も好きですが、映画を見るのが一番好きです。休日に厳選したDVD1本の時もあれば耐久戦で6本とか見ることもあります。創作脳にするのにとても大事な時間で作業をしながら見たりします。去年、二輪免許を取得したので、煮詰まるとバイクでぷらっと走りに行きます。といっても遠出はせず、夕飯の買い物もするのでサイドバッグをパンパンにして帰宅するんですけれど。最近はまっているものは猫ですね。9月から唐突にロシアンブルーを飼い始めました。マカロン記念で首輪は金魚柄。パソコンに立ちはだかり邪魔されています(笑)。
——これからどんな風に活動されたいと思っていますか?
「自分の一番のファンは自分」とある作家様がおっしゃっていて、自分もそうありたいと思っています。Berry's Cafeでしっとり大人のお話、野いちごで10代のヒリヒリする青春のお話を書いていきたいです。基本的に好き勝手に細々と書いているので、これからもそのスタンスは変わらないと思います。スピンオフを書くのが好きなので、またなにかできればいいなと思っています。男性目線の話もまた書いてみたいです。

蒼山 螢さんからのメッセージ

はじめまして。蒼山 螢と申します。「あおやま けい」と読みます。このコーナーで紹介いただき光栄です。「誰だろう」という方が多いと思いますが、この機会に覚えていただけると幸せです。誰かの「好きな作品のひとつ」になるようなお話を書けたらいいなと思っています。どうぞよろしくお願いします。

編集部ピックアップ作品

  • マカロン文庫10月刊

    『隻眼金魚〜きみがくれた祈りのキス〜』

    恋人でもなく友達でもない、ふたりの関係の行き着く先は…?
    幼馴染の蓮と詩絵里。詩絵里は幼い頃、蓮との不慮の事故で右目が見えなくなってしまっていた。その責任を取るように、大人になった今もそばにいて、いつも祈りを捧げるように右瞼にキスをする蓮。詩絵里は蓮のことが好きだが、きっと義務感で優しくしてくれるのだろうと思い、気持ちを伝えられずにいて…。

    >>特設ページはコチラ

代表作

  • 妖しく溺れ、愛を乞え
    幸薄いOLの雅は、恋人に捨てられた日の夜、泥酔して深雪という男に拾われる。その彼が会社の上役として再びあらわれ、しかも自分は妖怪だという…!溺愛される日々が始まった。へんてこで妖しくて、少し切ないラブストーリー。
  • 溺れるイヴ
    過去の恋愛から自分に向けられる愛を信じられない沙樹は、年下のタクミと出会い、惹かれていく。その日々に疑いが生まれたとき、沙樹の中のなにかが暴走した。愛のかたちを知りたかった。色を分かりたかった。溺れて愛を探すふたり。衝撃的な展開の先に待つものは。
  • 36度ヘヴン −君の隣が、俺の天国−
    高校生の湊は、クラスメイトの華織とつき合い出す。少年から大人へ。大学生になり幸せな日々に亀裂が生じ始め、さらなる悲劇がふたりに襲いかかる。出会いと別れ、歩き出す勇気を描いた作品。『隻眼金魚』のもうひとつの物語。
  • ハイカロリーラヴァーズ
    予備校の事務として働く華。同棲中の彼は冷たく満たされない日々を送っていた。そんな時、予備校生でバンドマンの青司と関係を持つ。日常が、運命が、激しく動き出す。わたし達の愛は狂っているのかもしれない。向かう先にはなにがある?
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