月刊注目作家 2015年11月 西ナナヲ

月刊注目作家 今、注目の作家を毎月1名ご紹介★

2015年11月 西ナナヲさん

注目理由

西ナナヲさんの『オフィス・ラブ』がマカロン文庫からついに電子書籍化!!しかも、今回は特別に発売前のカバーイラストを先行公開。このインタビューで『オフィス・ラブ』シリーズの人気の秘密がわかるかも…!?

インタビュー

——マカロン文庫から電子書籍化が決まりましたが、どのようなお気持ちですか?
本当にありがたいお話で感激しています。打診をいただいた時はちょうど会社のデスクにいて、ふと私用メールをチェックしたらこのお話が届いており、トイレにスマホ持ち込んで熟読しました。『オフィス・ラブ』は最初に書いたのが4年半も前ということもあって、今になってこんなふうに扱っていただけることにびっくりしています。多くの方に応援し続けていただいたおかげだなあと感謝しかありません。
——『オフィス・ラブ』はシリーズ化されている作品ですが、西ナナヲさんにとってどんな存在ですか?
これまで特に小説というものを書いたことがなく、この作品が生まれて初めて完結させた小説になりました。自分なりの書き方がまだ確立できていなくて試行錯誤している頃だったので、途中で頭から書き直したり、完結後にも繰り返し修正したりしたのを覚えています。一作目のみの単発作品のつもりで書いたのですが、「続きは?」とのお声をたくさんいただいて慌てて考えたのが#2以降です。今思うとどれだけ半端なところで終わらす気だったんだよと…。お声をいただくままに書いていったらシリーズになった、という幸せな作品たちです。が、第一作はあまりに書き慣れていない感が残りすぎているし、当時ガラケーが主流だったこともあり、その画面で見やすいような文字数や行数を狙って書いていたため、改めて見るとなんだこりゃーという部分が多く、改稿はメンタルがつらかったです…。
——シリーズ作品を書かれる上で気をつけていることがあれば教えてください。
『オフィス・ラブ#2』以降を書いた時は、一作目のボリュームを越えないように気をつけました。私の勝手なイメージかもしれませんが、いわゆるシリーズものの書籍って、巻を追うごとに厚くなっていくものが多いなと。でもなんだかんだ一作目くらいの書き込み具合が一番潔くて面白かったりして。なので、自分の場合もキャラや世界観を描きすぎて太らないよう意識した気がします。わりとプロットを固めてから書き出すタイプなので、後から矛盾が生じたりすることはあまりないのですが、万が一にもそういう事態が起こらないよう、いつも頭の中でオフィスの世界全体を俯瞰するようにしていた記憶もあります。
——登場人物、ひとりひとりのキャラクターが魅力的に書かれていますが、秘訣を教えてください。
そう言っていただけると嬉しいです。秘訣と言えるかどうかですが…キャラクター設定とストーリー展開がばらばらにならないようには気をつけています。このキャラならここでこう動いて、話がこう転がるのもわかるとか、この二人なら確かにお互い惹かれ合ってしまうだろうなとか、読んでいて納得のいく話にしたいと思っているので、「ライバル」とか「嫌な奴」といった書き手の都合で負わせる役割とは別に、彼らの世界において、そのキャラがなぜそういう性格になったのかという理由がやっぱり欲しいのです。と言ってもネチネチ考え出すわけでなく、そういう裏付けと一緒にキャラが降ってくる感じですかね。そのあたりがなんとなくでも設定してあると、動かしやすくて自分も楽になるので、基本はキャラ・世界観・ストーリーは全部セットで最初にある程度固めてしまいます。あとは後述のとおり、頭の中では漫画で進行しているので、文字になっていなくても設定されている要素というのが単に多いんだと思います。カップを持つだけでも、右手なのか左手なのか、柄を持つのか本体を持つのか、そのへんまで決めないと絵って描けないので、それが自然とキャラの設定に厚みを与えている…のかもしれません。自分だとよくわかりません。
——作家活動を始めたきっかけはなんですか?
恥ずかしながら、人生の前半を「自分は漫画家になる!」と信じて過ごしまして…頭の中で話を練ったりするのは小学生頃からの習慣でした。働きはじめると忙しくなり、なかなか絵や漫画というのは本腰入れて描きづらく、そんな中で創作欲の吐き出し先として見つけたのが携帯小説です。これならいつでもどこでも書ける!と思って始めたものの携帯では思うように書けず、結局ほぼPCです。『オフィス・ラブ』も元は32ページの漫画のプロットとしてできあがっていた話を小説に起こしたものだったりします。
——どのような小説や漫画を読むのが好きですか?小説や漫画以外にも創作活動に結びついたような趣味があれば教えてください。
翻訳物が好きで、ミステリーを中心にSFやハードボイルドあたりを読みます。漫画はわりと雑食で、少年少女から青年まで、気になったらなんでも買って読む感じです。思春期は少女漫画で過ごしたので、作風にはそのあたりの影響が一番濃く出ているのではと…成田美名子さんとかひかわきょうこさんとか。ここ数年は友人の影響で舞台やミュージカルを観る習慣ができていて、すごくいい刺激をそこからもらうことが増えました。
——これからどのように活動されたいと思っていますか?
コンスタントに作品をお届けしたいです。書きたい設定やプロットのストックばかり溜まっていくので、早く消化したくてうずうずしています。お題をいただくのも好きなので「こういうの書いて」と言っていただけたら「はい!」って感じで考えはじめます。ください。

西ナナヲさんからのメッセージ

こんにちは、西ナナヲと申します。ご紹介いただきとても光栄です。オフィス物以外にも大学生、高校生など書いていたりしますので、ご興味あれば覗いてやってください。これからも思いつくままいろいろなお話を書かせていただきたいと思っています。おつきあいいただけたら嬉しいです!

編集部ピックアップ作品

  • カバーイラスト先行公開

    マカロン文庫12月刊

    『オフィスラブ〜ずるいキスは恋の始まり〜』

    私の上司は、怖いけど、悔しいくらいかっこいい——。
    広告会社に勤める恵利は、あるイベントで“仕事の鬼”と呼ばれる上司・新庄さんとタッグを組むことになる。無愛想な新庄さんを初めは恐れていた恵利だったが、彼の正確かつスピーディーな仕事ぶりに魅了され、たまにしか見せない微笑みや、つらいときに必ず気づいてくれる優しさに惹かれていく。特別な気持ちがないなら期待させないで、と願いながらも、一緒に過ごすたびに膨れ上がる恋心。そんな折、新庄さんの異動が決まって…。

    >>マカロン文庫とは…?

代表作

  • 先輩12か月
    飲料メーカーに勤める新米社員の千栄乃。面倒を見てくれる“コウ先輩”はとにかくひたすらかっこいい。「お前のこと大事、それじゃダメかな」告白したら振られました。でもそれでいいのです。口が悪くて鈍感で女心なんてひとつもわかってない、なのにとことん優しいコウ先輩。すったもんだのオフィスラブ。
  • ビーマイン
    一族の思惑に振り回される女子高生、蓮子。彼女に手を差し伸べたのは探偵業を営む男、帳圭介だった。「なんでもしてやるよ」大人な帳に惹かれながらも、彼の過去の傷を知ってしまった蓮子は素直になれない。ふたりを巻き込んで、事態はゆっくりと回りはじめる。もどかしい恋と謎に翻弄されるラブミステリー。
  • What’s Love?
    29歳保育士のエリカ。ある時スーパーで出会った、めちゃくちゃ感じの悪い男。なんとそれは受け持ちの園児の父親だった。母を亡くした4歳の律己。おそるおそる父親になろうとする男。助けたいと思うエリカ。不器用な二人が少しずつ距離を縮め合う、子供を挟んだ大人の恋。連載中です。
  • Calling -true name-
    一人暮らしをしたくて東京から地方の大学に行ったみずほは、そこで謎めいた先輩“B”に出会う。人を探してこの大学に来たと言うB。ミステリアスな彼に惹かれていくみずほを、Bは優しく包みながらも受け入れきらない。やがてBの本当の目的がわかる──切なくて甘い、大学生たちの恋。
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