一夜のあと、君に溺れる
14.今ならわかる
重い瞼が開かれる。ぼんやりとして再び瞼が落ちそうになったところ、名前を呼ばれていることに気づいた。

「さーちゃん、さーちゃん」

「ん……、大ちゃん?」

どうして大ちゃんがいるんだろう?
ここは一体どこ?
私は何をしていたんだっけ?

思考が少しずつ働き始めると共に、高崎先生とのことが思い出される。ハッとなって勢いよく起き上がるも――

ゴチッ

あまりの勢いの良さに、覗き込んでくれていた大ちゃんの顔面に頭突きをしてしまった。

「ご、ごめん大ちゃん。大丈夫――」

言い終わる前に、大ちゃんは私を抱きしめる。ぎゅうっと強い力に包まれて、身動きが取れない。

「大ちゃん?」

「よかった。目を覚まさなかったらどうしようかと思った」

小さくて震えるような大ちゃんの声が、鼓膜を揺るがす。ものすごく心配してくれていることが伝わってきて、胸がぎゅうっと苦しくなった。

あのとき意識をなくした私は、大ちゃんや杏子さんに助けられて、病院まで運ばれたらしい。

「ごめんなさい、私が浅はかで……」

「さーちゃんは何も悪くないよ」

そんなことないのに、大ちゃんは安心させるかのように私の背を撫でてくれる。

どう考えたって、私が高崎先生に騙されて、二人で食事に行ってしまったことが原因だし。お酒だって飲まなければよかったし。考えれば考えるほど、自分が情けなく感じる。それに、こんなに大ちゃんに心配かけてしまって……。

「……高崎先生は?」

「あいつは――」

その後、私は高崎先生によって睡眠薬を飲まされたこと、私を利用して理事長の座を奪おうとしていたこと、実花さんも共犯だったことを知らされた。

ほんのりとした疑惑が、一気に明らかになった。情報量が多すぎて、頭が追いつかない。睡眠薬のせいもあるのか、まだ少し頭がぼんやりとしている。

コンコンと病室の扉がノックされる。入ってきたのは、心配そうな顔をした母と、白衣を着た父だった。
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