マカロン文庫大賞

受賞作品発表

大賞 賞金3万円+マカロン文庫から電子書籍化+講評付き
『強気な瞳の落とし方 』一ノ瀬 千景/著
全体を通して筆力が高いため、とても読みやすく、作品の世界観にぐっと引き込まれました。とくにヒーローとヒロインはもちろん、登場人物すべてのキャラクターが立っていて、小説の中で生き生きと動き回っているような印象を与えます。あえて課題を挙げるとすれば、お仕事描写の多さでしょうか。会社を舞台にしている以上、仕事の描写は必要ですが、増えすぎてしまうと読者を置いてけぼりにしてしまうこともあります。その裁量は難しいですが、あくまでも主軸は恋愛だということを意識していただければと思います。
優秀賞 賞金1万円+マカロン文庫から電子書籍化+講評付き
『アナタを捕まえたい』星咲りら/著
場面場面でのドキドキ感は、一次審査通過作品中ダントツでした。そのため、恋愛模様という点では、とてもよく描かれています。しかし、セリフの応酬が多く、登場人物の感情をしっかり書く地の文が少ないため、作品全体を通して見ると若干平坦な印象を与えます。また、ストーリー上で“裏切り”がなく、先が読めてしまうという意見も。読者の読みを裏切る出来事、設定などを加味すると、さらに作品としての面白さが増すのではないかと思います。
※1作品該当なし
特別賞 図書カード3000円分+マカロン文庫から電子書籍化+講評付き
『その顔が見たくて』黒乃梓/著
王道の設定でオフィスラブという点において、マカロン文庫の特徴をよくとらえている作品。審査員から高評価を得ました。しかし、現代恋愛ものと思いきや、途中でファンタジーを思わせるシーンがあり、そこは評価が大きく分かれた作品でもあります。ファンタジー要素が入ることを否定はしませんが、この作品設定で読者の期待に沿っているのか?その点は、執筆をする上で今一度お考えいただきたいことです。
特別賞 図書カード3000円分+マカロン文庫から電子書籍化+講評付き
『その手に騎士はキスを落とす』*和奏*/著
ファンタジージャンルでのエントリー作品の中でも、キャラクターがとても魅力的という意見が多く出ました。また、結末が2パターンあるという新たな試みを見せてくださったということも評価が高かった理由です。しかし、ファンタジー作品としては命ともいえる設定は、今一歩。複雑にする必要はありませんが、どういう状況で人間関係はどのようになっているのか?きちんと整理してみると、作品の世界観が構築されるのではないかと思います。

※大賞・優秀賞には至らなかったものの、支持を集めた作品を特別賞として選出しました。

全体講評

初開催となりました『マカロン文庫大賞』には、なんと284作品のエントリーをいただき、改めてマカロン文庫へのみなさんの意気込みと期待を感じた次第です。ご応募いただいた作家の皆様、作品を読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。

審査は、マカロン文庫編集部、Berry's Cafe編集部、販売部の計6名で行いました。事前に公表いたしました通り、審査員全員が下記の4つのポイントを共有し、選考しています。

1. 登場人物のキャラクターの魅力
2. 設定のおもしろさ
3. 思わず先を読みたくなるストーリー
4. 読んで満足できる作品の完成度

さらに、マカロン文庫は電子書籍ということもあり、電子書籍ならではの変化の激しい流行や内容の傾向に沿っているかも加味し、審査員が全作品を拝読した上で審査しております。

また、マカロン文庫ではすでにファンタジー作品を発売しておりますが、今後はさらにファンタジージャンルに力を入れていきたいという希望があります。そのため、ファンタジージャンルの作品で新たな試みを見せてくれた作品に対し、特別賞を設けました。また、受賞には一歩及ばなかったものの、今後の可能性を感じさせる現代恋愛の作品に対しても特別賞を設定いたしました。

審査全体を通しては、作品に対する評価が分かれることもありました。筆力は高いものの電子書籍としての流行をとらえていない、マカロン文庫として目指す方向と合致していないといったことがその理由です。これらは、私たち編集部がもっとマカロン文庫の方向性についてお知らせしていくことで解消される部分もあると思いますので、編集部の反省として大変勉強になりました。

今後、マカロン文庫大賞については第2回を開催予定です(時期未定)。その際には、よりみなさんのマカロン文庫への理解を深めつつ、新たな作品を書いていただけるような賞にしたいと思っていますので、皆様がご参加くださることを心よりお待ちしております。