Candy House
「いや、あたしは疲れたなんて一言も…」

「細かいところはいいじゃないの」

呟くように言い返したあたしに、上野さんが返した。

「それに今日は特別なことなんて…」

「気にするな。

さ、看板を片づけた」

安部さんに追い出されるように、あたしは店の外へ出された。

「訳わかんないな、もう…」

一言毒づくように呟いた後、ドアの前に置いた黒板――いや、看板を片づけた。

毎日片づける必要があるなら、もういっそのこと看板を作れよと言う話である。

「OPEN」を「CLOSE」にひっくり返すと、あたしは看板を持って店の中に入った。
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