不器用なシンデレラ
 理人くんが私の前で笑うこともない。

 ただのクラスメートの1人。

 それは、中学になっても、高校になっても変わらなかった。

 私から距離をつめることは出来なかった。

 理人くんみたいに美形でもなければ、頭の出来も飛び抜けていいとは言えない。

 クラスでも目立たない存在。

 背も高く、綺麗な黒髪の彼はモデルのような容姿でよくモテていた。

 クールな彼は言い寄ってくる女子なんて全然相手にしなかったけど。

 私にはただ彼を遠くから見てることしか出来なかった。

 17年も片思いしてるのに、彼に一度も告白出来ない臆病な私。

 きっと理人くんは、もう私の顔も名前も忘れているかもしれない。

 それなのに、彼の父親が経営する会社に就職するなんてバカもいいとこだ。
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