異世界で不老不死に転生したのに余命宣告されました


 リズは腕を組んで胸を反らしながら、疑わしげに目を細める。だから、そのポーズはでかい胸が強調されるんだって。

「どうだか。あなた、ちょっとエロいから」
「は!? どこが!?」
「すぐ私の胸見るし」
「そんなでかい胸、エロくなくても目を引くだろ。ていうか、オレ、この体になってから自分でも不思議なくらい、まったくムラムラしないんだけど」

 いや、マジで。

 今日行った性風俗店にいたあからさまにセクシーな美女たちや、リズの大きな胸を見ても「おぉっ! すげぇ!」とは思うけど、だからどうこうしたいと思ったりとか、邪な妄想にとらわれたりとか、さっぱりしないのだ。
 もう、まるで枯れきったじーさんみたいな感じ。死ぬまではそれなりに興味はあったんだが。

 リズは呆れたように言い放つ。

「当たり前じゃない。ホルモンを分泌してないロボットに性欲なんてあるわけないでしょ」

 なんと! そういうことか。
 てことは、食、睡眠、性、という人間の生理的三大欲求をオレは超越したことになる。悟りを開いたというか、これはもうすでに解脱。
 今すぐ新興宗教の教祖になるべきかもしれない。まぁ、ロボット教祖に従う信者なんていないだろうけどな。

「じゃあ、オレって全然エロくないじゃん」
「エロい思考の根元が必ずしも性欲とは限らないでしょ?」
「なんだ、そりゃ」

 どうあってもオレをエロ認定したいらしい。ていうか、胸をチラ見したくらいでエロい呼ばわりって、どんだけ清純派。
 あ、もしかして……。


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