薫子様、一大事でございます!

「それじゃ、やっぱり……」


膝の上に載せた手をギュッと握り締めた。


「……どんな結果であろうとも、彼が別れを切り出さない限りは一緒にいたいです」


小さい声ながらも、はっきりと意思表示をする。

それを確かめると、滝山が出してくれた麦茶を避けて、北見さんがテーブルの上に調査書の入った封筒を差し出した。


「こちらが調査書です」


震える手でそれを受け取り、中から調査書を取り出す。


1ページずつじっくりと目を通すと、星野さんは唇を噛み締めた。


「この女性と会っていたんですね……」


思わず握り締めた調査書がクシャっと音を立てた。

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