黒色女子を個人授業
彼の言葉が頭をよぎる。


ーー天野さんは仕事の比重が大き過ぎるんじゃない?ーー

回答.はい。仕事に対しては誰よりも真面目に取り組んできました。


ーーもっといろいろ楽しんでみて欲しいとも思ってるーー

回答.そうですね。私だって、できることならそうしたかったです。



別に仕事が大好きって訳じゃない。

必要だから、やらなきゃいけないことだから、やっているだけ。

時間が許すのなら私だって遊びたい。


でもこの忙しさの中でプライベートな時間なんて持てないと思っていた。

疲れ切った身体で家にたどり着く度に、もう何をする気力も残っていなかったし

だるい頭で朝起きる度に、最低限のやるべきことだけを考えていた。


忙しいとか、疲れてるとか、そんな理由で逃げ回ってた。

仕事以外の、私の時間ーー


私がおざなりに過ごしてきたそれらの時間の中で、彼は何を見つけたのだろう。


ずっと仕事のことばかり考えてきて、ろくな趣味もない私が

一体今さら、何をすれば、同じ景色が見れるのだろう。
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