コンプレックスさえも愛されて。



そんな彬さんの手は、車を降りてから三十分、ずっと私の右手と繋がっている。
実は手を繋ぐのもはじめての私たちだったから、最初はなんだか緊張したけど、今ではしっかりと指を絡められて繋がれている状態だ。




「彬さん?」
「ん?」
「あの、それ……くすぐったいですから…」
「ダメ?」
「ダメっていうか…」
「じゃあいいじゃん」

手を繋いでいる状態で、時々彬さんの親指が私の手の甲を撫でる。
ビクッとするし、なんかいやらしい気がするし、だからってチラって視線を向けると、なんにも気にしてないような顔した彬さんがいて、意識してるのが自分だけみたいで急に恥ずかしくなるから。




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