不機嫌な君
「…君のご両親は何と言ってるんだね?きっと、反対されてるんだろう?」

「…いえ、賛成してくれてます。…ひとみさんは、私の秘書でもありますし、良いパートナーになります」

…その言葉の後、父は黙り込んだ。

そう簡単に、賛成してくれないだろうな。私は、深く溜息をついた。

「…分かった…結婚を認めよう」
その言葉に、私も金崎部長も、驚きを隠せない。

「もちろん、簡単に認めるわけじゃないぞ?ひとつ、条件がある」

「…なんですか?」

父と、金崎部長は見合った。

「ひとみを絶対に泣かせるな」
「…それだけ?」

もっと、難しい条件を出してくるんだと思ってた私は、思わずそんな言葉を口走っていた。

「私たちの大事な一人娘だ。大事にしてもらわないと困るだろ?」

そう言った父は、少し困ったような笑みを浮かべていた。

…父の愛情に嬉しくて、泣きそうになった。
< 107 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop