身長差43センチのふたり。



「――っ、」

『雛乃…?』


私の手からお守りを受け取ろうとする千尋くんの手から逃れるように、手を離した。

どうしてそんなことするの…?いらないならいらないと、そう言ってくれればよかったのに。

他人から千尋くんの思いを伝えられたほうが心が痛いよ。


「千尋くん、いらないんでしょ…?」

『え……?』

「千尋くんは…優しすぎるんだよ。」


千尋くんの心のこもっていない優しさなんていらない。

形だけの優しさなんて求めてない。

そんな下等な優しさを見せる千尋くんを好きになったんじゃない。


『雛乃…?』

「これは…返してもらうね。」

『え――ッ』


冷えた体を無理に奮い立たせて、千尋くんから背を向ける。


「ばいばい。」

『ひな――っ』


使い切ったと思っていた体力はまだ残っていたようで、千尋くんを置いて私は中庭を飛び出した。



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