Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】
信号を過ぎて、角を曲がると、すぐ目の前にあこの家が見えてきた。

着いちゃった。
まだ…帰りたくないなぁ~、もっとあっちゃんと一緒に居たいよ。

その思いを必死に訴える様に、あっちゃんの横顔をじっと見つめた。

あこの強い視線に気付いたあっちゃんが笑った。

「どーした?

まさか柄にもなく“帰りたくなぁ~い!”…とか言うんじゃねぇだろうな?」

あっちゃんは、ケラケラと、茶化す様に、あこを見ながら笑ってる。

あっちゃんから、全部見透かされている気がして、ちょっぴり悔しい。

あこは、また、頬を膨らませてすねてみる。

『“そ~だよ!”って言ったら?』

あっちゃんは、あこの意外な返事に、少し困った様な顔をした。

そして、あこの顎を軽く自分の方へ引いて、優しい顔をするあっちゃん。

くいっ

『なっ…何?』

トクトクトクトク…

やばいよ、また心臓が…

だって、あこはその笑顔に弱いんだ。

すねるあこを見て、あっちゃんがポツリと呟いた。

「じゃあ…ちょっとだけ、海行くか?」

『うんっ!!行く~♪』

すねていたはずのあこの不機嫌な表情が一気に笑顔に変わった。

18歳とは思えない位にキャッキャとはしゃいでしまった。

…だって、まだあっちゃんと一緒に居れるから。

少しでも…1分…いや、1秒でもいいから、一緒に居たいの。

「プハッ!ガキ~!!」

小さく吹き出すあっちゃん。

『フーンだっ!!だって、まだ帰りたくないもん!』

あこは、また頬をぷくぅ~と膨らませて、あっちゃんをじっと見つめた。

「ヤベ…」

秘かに、あっちゃんの声が聞こえた。

でも、EXILEの曲にかき消されて、うまく聞きとれなかった。
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