幸せの契約
プルルル…

備え付けの電話がなった
私はそんなの耳に入らない

犬居さんが受話器を取った
「はい。
平瀬様付き執事・犬居でございます。」




私は新聞に釘付けになったまま



「鈴様。
旦那様よりお電話でございます。」


犬居さんが受話器を差し出した


この一大事に…


若干の苛立ちを覚える


「もしもし…。」


『おはようございます。平瀬さん。新居は気に入ってくれたかな?』

悠長な話し方
今はそんなこと話したくないのに…


「はい。いろいろ馴れなくて大変ですけど。
用件はなんですか?
今、忙しくて。」


私の状況を知ってか知らずか蔵之助さんは受話器越しに笑った
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