幸せの契約
「鈴様―…。」

犬居さんの顔は恥ずかしくて見れない


呆れた?


怒るかな?


「犬居よぉ、主人の気持ちを一番に考えるのが執事だろ?」


番場さんの言葉


犬居さんが大きなため息をついた


「鈴様。

本日は天気もいいですし、テラスで使用人も含め全員でティータイムにしましょうか。」


意外な言葉に顔をあげる私
見上げた犬居さんは
とても
優しい顔をしていた



ドキンっ




今まで見た中で一番優しい犬居さんの笑顔


「いいんですかっ!?
番場さんも、田中さんも、黒木さんも(運転手)みんなで?」


「もちろんです。

ちょうど
ベリーパイが焼き上がったところですから、美味しい紅茶をお入れしましょう。」



やったぁぁ!


子供のようにはしゃいでしまう


すぐさま
使用人全員を集めた


「さぁ、鈴様はお座りになっていてください。」


私を促す犬居さん

「いやです。」


「は?」

私の言葉に
間の抜けた顔


ププッ!
面白い顔…写メ撮ればよかった


「私も手伝います!」


腕捲りをして
パイを持ち上げる


「いけません!(汗)
鈴様にそんなことっ…。」


慌てる犬居さん


「犬居さん、これは私の命令です。
私が手伝います!
いいですか?」



せっかくの主従関係

有効利用しなきゃ


犬居さんは完全に完敗


「かしこまりました。
マイロード…。」


そこからは楽しい時間


初めてこの家に来て
心から笑えた

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